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ちびっ子転生者は手に負えないッ!Returns 〜精霊女王がピンチらから聖獣と一緒にちゅどーん!しゅりゅ〜  作者: 撫羽
第3章 あんしゅてぃのしゅ大公国ら!

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206/220

206ーユニコーンで

 ベースを出た一行。白いユニコーンが走っている。

 大森林の中に射す光がユニコーンの体を照らし輝かせているようにも見える。

 そのユニコーンに乗るリヒトの前に、いつもの様にチョコンと乗っているハル。

 カエデはイオスの前だ。そして、ミーレの乗るユニコーンにはいつもは脇を疾走しているシュシュが小さくなって乗っていた。

 虎柄の白い猫ちゃんに見える。猫ちゃんなのに虎柄もないのだけど。

 大森林の樹々の中を縫う様に走るユニコーン。先頭はソニルとコニーだ。

 長老がワールドマップで確認した場所へ向かっている。

 

「本当に綺麗だわ。大森林って自然の息吹に溢れているわ」


 と、シュシュが何やらそれらしい事を言っている。


「自分の足で走れないのが残念だわ」

「シュシュ、いつも走っているじゃない」

「それとこれとは別なのよ。ミーレったら、この素晴らしい景色の良さが分からないのかしら」


 そんな事を言われても、ミーレだけでなくエルフ族はこの大森林の最奥で生まれ育ったんだ。

 所謂、日常だ。この大森林の景色が当たり前なんだ。

 だから、他国に行った時には少しの息苦しさを覚えたりもする。


「おりぇはどの国より好きらじょ」

「ね、ハルちゃん、そうよねー」

「おう」


 ハルはリヒトの前に乗り、足をプランプランさせている。本当に何もかもが小さい。まだちびっ子だから。


「ハル、ちゃんと掴まっておけよ」

「おー」


 そうだぞ。今日は普通の馬では下りられない場所へ行くのだ。

 そのプランプランさせている足は止めよう。


「らいじょぶら」

「そうかよ」


 本当に大丈夫なのか? まあ、しっかりとリヒトに繋がれてはいるのだが。


「イオス兄さん、怖いんちゃうの?」

「カエデ、何言ってんだ。いつもユニコーンで飛んでいるだろう?」

「けどな、今日は特別なんやろ?」

「特別か? いつも通りだろう?」

「そうなん? ほな、平気やわ」


 イオスも楽天家だった。あまり深刻には考えないらしい。

 それは今までに、色んな経験をしてきたからだ。大抵の事なら何とかなると思っている。実際、エルフ族の高い能力だとなんとかなる。

 だが、カエデはまだ10歳だ。経験値が違う。エルフ族でもない。それは不安になっても仕方がないだろう。


「あそこだよ。あの向こうに谷があるんだ」


 到着したらしい。ここから飛んで下りて行く。

 これは谷というよりも、そこだけ急に地面が落ちている様な感じだ。

 周りには樹々が繁っている。だが、突然そこだけ数百メートルの落差がある。


「ソニル、これはどれ位の距離が続いているんだ?」

「長老、谷の長さって事なら200~300メートルってとこだよ」

「これは危険だな。いきなりこの落差が出てくると、落ちてしまう者もいるだろう」

「長老、ここは大森林の中だよ。そうそう人が入ったりしないよ。こんな場所に来るのは僕達位だよ」

「それもそうか。ベースの皆には周知しているのか?」

「当然だよ。みんな知っているよ。なにしろ薬草が生えているからね」


 そうだった。この下には薬草が生えていると話していた。


「じゃあ下りるよ」


 そう言って、ソニルのユニコーンがフワリと飛んで悠々と下りて行った。ほとんど垂直に下りて行く。

 それに続くコニー、そしてリヒト達。


「マジ!? これは怖いにゃん!」

「アハハハ!」


 ハルちゃんは何故か笑っているぞ。


「しゅげーな! 気持ちいいー!」


 気持ちいいそうだ。カエデは目を瞑っている。怖いらしい。


「カエデ、大丈夫だから目を開けて見なさい。こんな景色見ておかないと損だわ」


 シュシュはそうなのだろう。珍しい景色を見るのが好きなのだから。でも、カエデはそうではない。


「いやいや、怖いって」

「長老、これはどうなんだ?」

「ふむ、断層なのだと思うぞ。ここだけズレたか何かで落差ができたのだろう」


 ほう、そんな事があるのかどうかは知らない。

 とにかく大森林の中に突然数百メートルの落差のある場所がある。その底に精霊樹はあるらしい。


「じーちゃん、ありゅじょ」

「おう、あるな」


 ハルと長老はもう分かっているらしい。

 ハルちゃんのお手々の甲にある印は反応しているのだろうか?


「ハルの手も光っているか?」

「あ、わしゅれてたじょ」


 忘れるんじゃない。折角精霊王がくれた印なのに。今回殆ど活用できていない。


「光ってりゅじょ」

「ハル、もう見えているぞ」


 意味がないじゃないか。

 谷の底にも樹々が生えていた。どうやってこの落差のある場所に生えたのか。

 まだそう背の高くはない樹々が生えている。その真ん中にぽっかりと開けた場所があった。

 どうやらそこが目的地らしい。


「なんて綺麗なの!」


 シュシュがそれを見て感動しているらしい。


「ねえねえ、ミーレ。あれって全部薬草なの?」

「そうみたいね。大森林の中でも珍しい薬草じゃないかしら?」

「もしかして貴重なの?」

「貴重といえば貴重なんだけど、あまり使わないわね」


 何故なら、状態異常を治すポーションを作る時に必要なものらしい。

 当然、エルフ族は状態異常に耐性がある。ハルや長老にリヒトなんて状態異常無効だったりする。

 それに他の薬草でも代用できるそうだ。

 それ故に、あまり使う事はないのだそうだ。


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