202ー南東の遺跡
翌日、南東のベースへと転移した一行。
そこでは、ソニルが待ち受けていた。
「ハルちゃ~ん! 会いたかったよ~!」
と、両手を挙げて駆け寄ってくる。なんだかノリが、ハルちゃんのファンクラブ会員みたいだぞ。
「あ、しょにりゅしゃんら」
そのソニルにヒョイと抱き上げられ、クルクルと回る。
これは、あれだ。フィーリス殿下と同じパターンだ。
「とぉッ!」
案の定、ハルのへなちょこパンチが炸裂した。
「いたぁ~いぃ!」
「しょにりゅしゃん、くりゅくりゅまわりゅかりゃりゃ」
ハルのへなちょこパンチが炸裂する基準は、クルクルと回る事らしい。
そんな事にはへこたれないソニル。
「ハル、元気そうだね」
「うん、しょにりゅしゃんもら」
「元気だよ~!」
そしてまた抱き上げ回ろうとする。が、ギリ止まった。覚えていたらしい。
「ソニル、相変わらずウザイな」
「リヒト、酷いッ!」
「リヒト様、長老、お久しぶりです」
ソニルの従者、コニーだ。
昨日までいた南西のベースの管理者シアルの従者、ロニーの兄だ。
二人共、落ち着いている。どちらも従者の方が、しっかりしていそうだ。
「早速行くの? 行っちゃう?」
「ソニル、一緒に行くつもりかよ」
「そんなの行くに決まっているじゃん!」
ああ、やはりここでも同行するらしい。
エルフ族は皆見たいんだ。
見る事ができないとしても、精霊樹と精霊獣なんて気になって仕方がないらしい。
「ねえ、長老。僕達は見る事ができないんでしょう?」
「まあ、そうなんだが」
「こはりゅ」
「はいなのれす」
ハルの亜空間から早速ポポンと出て来たコハルさん。張り切っている。
今回は大活躍だ。
「何、なぁに? コハルちゃんが関係あるの?」
「みたいれすか?」
「当たり前じゃない! 見られるものなら、見たい!」
相変わらずテンションが高い。ハルはちびっ子なのに、テンション低めだからちょっぴり引いてしまう。
「こはりゅ、いいか?」
「はいなのれす」
そう言って、コハルがソニルの額にプニッと手を当てた。コニーにもだ。プニップニッ。
「なに? これでどうなるの?」
「みえりゅように、なりゅんら」
「そうなの!?」
「はいなのれす。今日だけなのれす」
「行こう! 長老、早く行こう!」
はいはい、一人で賑やかだ。
さっさと遺跡に移動してきた一行。その遺跡でも、南西の遺跡にあった精霊樹と同じ様に遺跡の中央に3本立っていた。
キラキラと光ながら、幹もしっかりしていて葉も艶々としている。
「えぇッ!? なんで!? あんなのなかったよ!?」
「らから、しぇいれいじゅら」
「あれがそうなの? キラッキラしてるじゃん!」
「げんきらな、こはりゅ」
「ここも元気なのれす」
ここもヒールや、ピュリフィケーションは必要ないようだ。
「ひぽ」
と、ヒポポを呼び出す。また亜空間からお顔だけを出すヒポポ。
「ぶも」
どうした? 最近すんなりと出て来ない。
「ぶもも」
「しょうか?」
「ぶも」
何やらハルに訴えている。
「ハル、ヒポポは何て言ってんだ?」
「こはりゅがいちゅもさきにでりゅって」
「アハハハ、そりゃ仕方ねーだろう」
「ちょ、ちょ、ちょっと待って!」
「しょにりゅしゃん、ろーした?」
「それ! そのカバさん!?」
「ああ、ヒポポだ。精霊獣だぞ。本当は見えないんだ」
「そうなの!?」
ソニルがヒポポに、にゅっと手を出した。頭を撫でようとしたらしい。
「ぶも」
パクッとヒポポがソニルの手を噛んだ。いや、咥えた。これは噛んではいない。
そして、もっちゃもっちゃとお口を動かしている。
「アハハハ! 擽ったいよー!」
甘噛みか? 食べられているぞ?
「ヒポポっていうんだね。僕はソニルだ。よろしくね!」
「ぶも」
おう、手がベットベトだ。
「精霊獣かぁ。足が6本もあるんだ。それに、羽があるんだね。尻尾が可愛いぃ~」
「ぶもも」
ヒポポまで少し腰が引けている。ソニルはグイグイいくからな。
恐るべし、コミュニケーションモンスター。
「ひぽ、いいかりゃよびらしてくりぇ」
「ぶも」
ヒポポがハルに言われて、のっしのっしと前に出る。
「何? なぁにぃ? まだ何かあるの?」
「ひぽが、しぇいれいじゅうをよびらすんら」
「え? まだ出てくるの?」
「いっぱいれてくりゅじょ」
「えぇー! 楽しみぃー!」
その場で小躍りしている。ソニル、少し落ち着こう。
そんな事はスルーして、ヒポポが精霊獣を呼び出す。
「ぶもぉ」
ブワッと出てきた、沢山の精霊獣。
トンボか? いや、良く見ると蝶と同じ様に、人型でトンボの様な羽が付いている。
羽が虹色に光輝いている。頭には触覚があり、その間に小さな角がある。背中の羽の付け根に小さな葉っぱがついている。お尻に当たる部分にも小さな葉っぱが2対。
この葉っぱは精霊獣の標準装備らしい。
一斉に出て来て、しかもみんなハルを目指す。どうしてだ? やはり、世界樹の加護が原因なのか?
「げんきらな~!」
またハルちゃん、油断していると前が見えなくなる位にくっつかれるぞ。
「ぶぶぶッ」
ほら、言わんこっちゃない。
「前がみえねー」
「ぶもぶも」
ヒポポが助けに入った。いつもハルはこうなる。精霊関係には好かれるらしい。
長老が言うには、ハルの加護に関係するらしいのだが。
「とぉんぼぉのめぇがぁねぇは みじゅいりょめぇがぁねぇ~」
また歌っている。お手々を広げてパタパタ動かしながら、ついでにお尻もヒョコヒョコと振っていたりする。
最近、お歌を歌うのが当たり前になってきた。
先に進もう。
お読みいただき有難うございます!
いつも感想を有難うございます!
11月まで少し立て込むので、お返事できないかも知れません。
ですが、ちゃんと読ませて頂いてます。
申し訳ありませんが、ご了承ください。m(_ _)m




