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ちびっ子転生者は手に負えないッ!Returns 〜精霊女王がピンチらから聖獣と一緒にちゅどーん!しゅりゅ〜  作者: 撫羽
第3章 あんしゅてぃのしゅ大公国ら!

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198/220

198ー大森林の精霊樹

「ぶも」


 おや、ヒポポがジト目でお顔だけ出して見ているぞ。


「あ、ひぽ。出りゅ?」

「ぶも」


 ヒポポも早く出たかったらしい。


「あたちも出るなのれす」


 コハルさん、ヒポポの頭に乗るのは止めよう。

 コハルを頭に乗せたまま、ヒポポがどっこいしょとハルの亜空間から出てきた。

 シュシュが聖獣で、ヒポポが精霊獣。コハルはその中でも一番偉いらしい。一番小さいのだけど、態度もデカイ。


「こはりゅ、ひーりゅしなくてもいいんじゃね?」

「必要ないなのれす。元気なのれす」

「らよなー」


 元気にキラキラと光って生えている精霊樹が3本。

 ハルちゃん、ヒールだけでなく他にもする事があるだろう?


「ハル、聞かないといけないぞ」

「しょうらった。ひぽ」

「ぶも」


 はいはい、分かっているよとヒポポが前にでる。そして一鳴きした。


「ぶもぉ」


 すると、3本の精霊樹からブワワ〜ッと一斉に出てきた精霊獣。数が多いぞ。3本の精霊樹から数えきれないくらいの精霊獣が出て来た。

 七色の蝶だ。まるでいつもエルフ族が使っているパーピの様だ。

 フワリフワリとハルに向かって飛んでくる。

 沢山の蝶だ。其々の羽が金粉を振り撒くかの様に輝きながら飛んでいる。

 よく見ると、小さな人型をしている。その背中に蝶の羽が生えているんだ。

 頭から2本の触覚が伸びている。背中には羽の間に小さな葉っぱもある。そして、お尻の部分にやはり小さな葉っぱが2対ついている。


 ――こんにちは~

 ――エルフなの~

 ――エルフだ〜


 と、口々に喋っている。

 アンスティノス大公国やツヴェルカーン王国の精霊獣で、話せるものはいなかった。

 ドラゴシオン王国では、メタ爺と呼ばれる精霊獣が唯一話せた。

 ヘーネの大森林では、もしかしてどこの精霊獣も話せるのかも知れない。

 何しろ、元気さが違う。精霊樹も他の国よりも立派に見える。

 太いしっかりとした幹に、生き生きとした緑の葉が生い茂っている。何が光っているのか? 精霊樹自体が光りを放っているのだ。

 そこから出て来た精霊獣も元気いっぱいだ。

 ハルだけでなく、長老やリヒトの周りにも集まってきた。


「アハハハ! 長老、スゲーな!」

「おう、リヒト。こんなに違うものなのか」

「違うって、どういう事なんだ?」


 シアルは他国の精霊樹を知らない。長老は他国の精霊樹と比べているんだ。

 アンスティノス大公国の精霊樹が、どれだけ元気がなかったのかよく分かる。


「元気なのれす。良い事なのれす」


 それで、ヒポポ。聞けたのかな?


「ぶも」

「ひぽ、ろうらった?」

「ぶもぶも」

「お、しょっか」


 なんだか良い感じではないか?

 ヒポポの返事も心なしか明るく感じるのだが?


「ハル、何だって?」

「じーちゃん、つい最近来たって」

「そうか」


 ――精霊女王さま!

 ――来たよ~

 ――うん、来た来た~


 なんだ、話せるのだから直接聞けばいい。


「ぶも」


 いや、ヒポポは必要ないと言っている訳ではない。


「ろこに行ったか知らねー?」


 ハルが直接話しかける。ハルの周りには沢山の精霊獣。また、前が見えないのではないかと思うくらいにだ。


「ぶふふッ、ちょっち前がみえねー」


 やっぱりだ。ハルは好かれるから。精霊達もハルに寄ってくる。

 ハルが精霊獣に囲まれて、身動きできなくなっている。そのハルもまた可愛い。

 丸い幼児体形のハルが、蝶に囲まれてただ立っている。丸いお腹の辺りだけでなく、全身ぷくぷくだ。


「らから、ろこに行ったかしらねー?」


 ――帰るっていってた~

 ――そうそう

 ――違うよ~

 ――えー? そう~?

 ――他も回ってから帰るって~

 ――そうそう~

 ――本当だよ~

 ――ご用事があるって〜


 どれが本当なのだろう。多分、ヘーネの大森林にある他の精霊樹も回ってから、精霊王のところに帰るの言っていたという事だろうか?

 なら、このヘーネの大森林にいるのか?

 エルフ族のホームとも言えるこの大森林に。

 他の国を回って来たというのに。


「まさか、ヘーネの大森林にいるとは」

「なんだよ、折角色々回って来たのに」

「ハルちゃ~ん! めっちゃ凄いな~!」

「ハルちゃ~ん! 綺麗だわ~!」


 カエデとシュシュだ。ハルちゃんチームはどんな時でもマイペースだ。

 取り敢えず、ハルちゃん最優先という事だけは揺るがないらしい。


「俺、圧倒されて何も言えねーわ」

「アハハハ。シアル、そうか?」

「おう、精霊樹とか精霊獣とかそんなの聞いた事ないぞ」

「俺もそうだった。だが、実際に見ているじゃないか」

「おう、そうなんだな。いつもは見えないのにな」


 それはコハルの裏技のお陰だ。

 コハルさんはまだまだ能力を隠していそうな気もする。


「大事に守ってきて良かったと思えるよ」

「ああ、本当にな」

「なんだ、お前達でもそんな事を思うのか?」

「長老、そりゃそうだろう。感慨深いものがあるぞ」


 見る事ができなくても、ずっと太古の昔から精霊を敬ってきたエルフ族。この遺跡も、先祖が残した大切なものだと管理し守ってきた。

 そのエルフ族の力があったからこそ、これだけ立派な精霊樹が残っているんだ。

 ヒールも必要のない精霊樹なんて初めての事だ。


「ちょうちょ~ぅ、ちょうちょ~ぅ、なのはにと~ま~れ~♪」


 ああ、ハルが両手をフリフリしながらお歌を歌いだした。

 ハルちゃん、お歌が好きだね。童謡ばかりだけども。


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