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ちびっ子転生者は手に負えないッ!Returns 〜精霊女王がピンチらから聖獣と一緒にちゅどーん!しゅりゅ〜  作者: 撫羽
第3章 あんしゅてぃのしゅ大公国ら!

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197/220

197ー驚き

「おいおい、待て待て待ってくれ!」


 シアルが精霊樹を指差しながら、驚いている。綺麗なお顔の眉を上げ、唯でさえ大きな目をより大きく見開き、美しい形の口を大きく開けてパクパクさせている。

 余程、驚いたのだろう。


「なんだよ、シアル。うるせーな」

「いやいや待てよ、リヒト!」

「だから何だよ」


 リヒト達はもう慣れている。当然だ。今まで何度も同じ事を繰り返してきているのだから。ハルが『わんぱたらな』と言い出すくらい何度も。


「俺は何度もこの遺跡に来ている! それこそ、目を瞑っていても歩ける位にだ!」

「そりゃ、ベースの管理区域だからな」

「リヒト、そうじゃない! あんな樹なんてなかったんだ!」

「シアル、だから精霊樹だ」

「せ、せ、精霊樹! あれがか!? 光っているぞ!」

「おう、そうなんだよ」

「なんだってーッ!!」


 賑やかな奴だ。これだけ驚いてくれると、気持ちいい。


「なんだよ、なんでみんな驚かないんだ!? 長老!?」

「ワシ等は何度も見ているからな」

「しょうらな」

「ハルもか!?」

「おー、わんぱたらな」

「わ、ワンパタ!?」


 また言っている。同じで良いじゃないか。違った事が起こるとまたそれに対処するのにバタバタするだろう?

 シアルが驚いているのは、放っておこう。

 遺跡の中心に立っていた3本の精霊樹。それは今まで見てきたどの精霊樹よりも輝いていた。

 大森林の環境が良いのだろうか。エルフ族が精霊を崇めている事にも関係するのか。それとも、この地下に瘴気を浄化する魔石が設置されている事が関係するのか?


「もしかしたら、この精霊樹の下に態々魔石を設置したのかも知れんな」


 とは、長老の意見だ。精霊樹も瘴気を浄化する。それを助ける為に、この地下に魔石を設置したのではないかという考えだ。それも、とてもエルフ族らしい考えだ。

 太古の昔は精霊だけでなく、精霊樹も見る事ができていたのだとしたら有り得る事だろう。

 中央にある3本の精霊樹を守るかの様に作られた低い壁。ハルの身長の高さも無い。

 だがそこには確実に、この中には入ってくれるなという意思が伝わってくる。

 この遺跡と同じ様に、大切に守られてきたんだ。

 その上、今では魔物の侵入を拒むシールドまで張ってある。

 もちろんそれは遺跡を守る為なのだが、結果的に精霊樹も守っている。

 エルフ族の気持ちだ。何の為に建てられた物なのかは分からない。それでも、自分達の先祖が残した物だ。それを大切に守るのだというエルフ族の気持ちだ。

 いつもなら、真っ先にハルを抱っこしている長老が、何も言わずに先頭を歩いている。どうしたのだろう?


「ハル、来てみなさい」

「じーちゃん、ろーした?」


 トコトコとハルが歩いて行く。だが、精霊樹を囲むように作ってある壁が行く手を阻む。


「りひと、らっこ」


 と、可愛らしくリヒトに両手を伸ばす。


「おう」

「クゥーッ!」


 なんだ、シアルが悶えている。どうした?


「俺もちびっ子に『らっこ』て強請(せが)んでもらいてー!」


 ちびっ子大好きエルフ族だ。流石だ。リヒトが羨ましいらしい。

 そんなシアルは相変わらずスルーだ。

 精霊樹の側に行き、間近で見た。


「お? あかちゃんら」

「ハハハ、そうだな」


 ハルが赤ちゃんだと言ったもの。3本の立派な精霊樹の樹下には、ハルの背丈と同じ位の小さな精霊樹が輝いていた。

 キラキラと、これから大きくなるんだという生命力を感じさせる。

 こんな事は今までのどの国でも見られなかった事だ。


「スゲーな、初めてじゃないか?」

「ワシも見て驚いた。ワールドマップに小さな反応があったから、来て見たらこれが生えておった」


 長老はワールドマップで認識していたと言う。ハルちゃんはどうなのかな?


「じぇんじぇん、わかんねー」


 はい、まだまだだ。

 ハルはマイペース過ぎやしないか? ちゃんと分かっているのだろうか?

 どうも、フワフワしていてよく分からない。かと、思えば急に張り切り出したりする。

 まあ、それがハルなのだが。


「かぁーわいいじょ」

「アハハハ、ハル。そうか?」

「うん、かわいい。がんばっておっきくなりゅんらじょ」


 そういいながら、小さな精霊樹を撫でていた。その時だ。

 ハルが小さな手で精霊樹を撫でた時、光り出したんだ。


「おお!?」

「ハル、何やったんだ?」

「おりぇは、なんもしてねー。なれなれしたらけらじょ」

「ふむ、ハルの魔力に反応したのか? ハルの手にある印か?」


 なるほど、精霊王にもらった印がハルの手の甲にはある。それもより一層光って反応していた。


「ハル、なんだそれは!?」


 シアルだ。誰かシアルにガイドとして付いてやってほしい。と、すかさずルシカが説明をしている。こんな時、一番頼りになるのはルシカだ。


「ハルちゃん、光っているわよ!」

「ホンマや! めっちゃ光ってるで! 熱くないんか?」

「あちゅくはねー。なんともねーじょ」


 ハルちゃんチームはいつも通りだ。ハルの手を見て、カエデがあたふたしている。ハルの手を取り、摩ったりしている。どうした、気が動転しているのか?


「いや、マジでびっくりしたわ。ハルちゃんの可愛らしい手がピカピカし出すんやもん」


 カエデの尻尾が一瞬体に巻き付いていた。本当に驚いたらしい。


できたてホヤホヤです^^;

誤字報告、お待ちしてます。m(_ _)m

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