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ちびっ子転生者は手に負えないッ!Returns 〜精霊女王がピンチらから聖獣と一緒にちゅどーん!しゅりゅ〜  作者: 撫羽
第3章 あんしゅてぃのしゅ大公国ら!

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188/220

188ー必殺技?

 シュテラリール家のお邸の広い庭に、ハル達の声が響いている。


「かえれ、いっくじょー!」

「ハルちゃん、いいで!」

「とおッ!」


 シュンッと小さな風を起こして、ハルの姿が消えた。

 身体強化を使って、高くジャンプしたらしい。


「やだ、ハルちゃんったら早いわねぇ」

「シュシュ、見えた?」

「あら、当然よぅ」

「私は見えなかったわよ」


 ミーレにはハルが何をしたのか、見えなかったらしい。ミーレだって鞭を持たすと強いはずなのに、そんな事で大丈夫なのか?


「ハルちゃん、パワーアップしてるやん!」


 そう言いながら、カエデはしっかり木の剣を構えていた。


「たあーッ!」


 ――カーンッ!


 木の剣がぶつかる音が響く。

 朝食後、ハルはカエデを相手に鍛練をしているらしい。それにしては、ハルちゃんが張り切っている。

 初っ端から飛ばしているではないか。


「自分かって毎日鍛練してるんやからな!」


 今度はカエデが仕掛けた。


「やぁッ!」

「まらまららな!」


 ハルちゃんは軽く後ろに一回転をして、カエデの剣を避ける。

 3歳児のする事ではない。普通の3歳児はできない。いや、やろうとしてはいけない。危険だからね。


「アハハハ! ハルは早いし強いな!」

「長老、ハルの身体強化が進化してないッスか?」


 イオスがハルの動きを見て、飽きれた様に長老に聞いた。


「ハルが言うには、少しばかりバージョンアップとやらをしているらしいぞ」

「バージョンアップって、それどころの話ッスか?」

「アハハハ、まあ良いだろう」


 良いのか? それで良いのか? ハルちゃん、超やる気だぞ。こんな時は何を仕出かすのか分かったもんじゃない。

 いやいや、みんなもうハルの性格は分かっているだろう。

 長老はハルには激甘だから当てにはならない。そうだ、こんな時はルシカだ。ルシカしかいない……て、そのルシカがいないぞ。どこ行った!?


「ハルは朝から何をしているのですか?」


 おう、ルシカがやって来た。良かった。ルシカしかハルを止められる者はいない。


「ルシカ、見て分からないか? ハルとカエデが対戦しているんだ」

「リヒト様、そんな事は見れば分かります。私が言っているのは、朝食を食べたばかりなのに一体どうしてそんな事をしているのかという事ですよ」

「お、おう」


 おや、既に少しオコかな?


「たぁーッ!」

「まだまだーッ!」


 ――カーンッ!


 超本気だ。しかしハルの本気を、受けて(かわ)せるようになったカエデは凄く進歩していないか?

 それでもまだ受ける一方だ。


「はいーッ!」

「クーッ、キツイなー!」

「おーし、ひっしゃちゅわじゃら! うけてみりょ! まてりありゅばーしゅとッ!」


 ハルちゃん、それは剣でするものではないだろう?

 どこかのアニメに出て来る必殺技を出すらしい。ハルは突然、手に持っていた剣を銃のように構えた。そして、そこから出たのは……


 ――ひゅぅ~……ポポン!


「うひゃひゃひゃ! ハルちゃんこれ何なん!?」

「ひっしゃちゅわじゃら! まてりありゅばーしゅとッ!」


 ――ひゅぅ~……ポポポン!


 確かにハルが構えた木の剣から、まぁるく光る何かが出ている。だが、それはフワリフワリと進みカエデに当たるとポポンと消えた。

 またハルは、一体何をしているのか。「流石、ハル様」とでも、言わなければいけない様な気になってしまう。


「うひゃひゃひゃひゃ! こしょばいにゃぁ~!」


 なんだ、(くすぐ)ったいらしい。カエデが体を(よじ)らせながら笑っている。

 痛くないのか? あれは本当なら、敵を一撃で殲滅するぶっとんだ必殺技ではないのか?

 なのに、擽ったいらしい。ハルは言いたいだけなのか?

 そう言えば以前『波〇拳』も叫んでいた事がある。あの時もカエデは擽ったいと言っていた。

 ハルちゃん、テレビっ子だったのかな? 男の子は誰でも憧れるよね。最強のヒーローに。


「ワッハッハッハ!」


 長老まで大爆笑だ。真剣に鍛練をしていたのではないのか?


「いっくじょー! まてりありゅばーしゅとッ!」


 ――ひゅぅ~……ポポポンポン!


「うひゃひゃひゃ! ハルちゃん、それ教えてー! 自分にも教えてー!」

「おう! いいじょー! まじゅは構えら!」

「え!? そこからなん!?」

「あたりまえら! 足はこう! 手はこう!」

「はいにゃ!」

「しょれれ、かっちょよく言うんら! まてりありゅばーしゅとッ!」

「よし! マテリ〇ルバーストッ!」


 ――ひゅぅ~……ポン!


「おー! 出たで!」

「もっとちゅよくら!」

「はいにゃ!」


 カエデまで同じ格好をして、剣を抱えて構えている。

 ハルちゃん、幼児体型だ。ポヨンとしたお腹が可愛らしいのに、堂々と胸を張って立っている。それが、おかしいやら可愛らしいやらで、とっても微笑ましい。


「イオス、カエデも出したぞ」

「そりゃまあ、リヒト様。あれくらいはできますよ」

「そうなのか? スゲーじゃねーか。猫獣人なのにさ」

「カエデは努力の子だな」

「長老、そうなんですよ。カエデは毎日欠かさず鍛練してるッス」

「しかし、何が必殺技だ。ハルは手加減も良いとこだ」

「長老、ハルが本気でやったらカエデは生きてねーぞ」

「確かにな」


 要はハルちゃんは、真剣に鍛練するのにも飽きちゃったと言う事かな? これはもう、遊び出しているよね? 確実に。


「賑やかだな、またハルか?」


 やっと、リヒトの父と兄がやって来た。そろそろ討伐に向かうのか?

 それにしては、のんびりとしている。


「そろそろ出ましょうか?」

「おう、そうか。ハル! 行くぞ!」

「おー! じーちゃん!」


 さっさと討伐してこよう。これ以上、変にハルちゃんのテンションが上がらないうちにね。


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