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ちびっ子転生者は手に負えないッ!Returns 〜精霊女王がピンチらから聖獣と一緒にちゅどーん!しゅりゅ〜  作者: 撫羽
第3章 あんしゅてぃのしゅ大公国ら!

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181/220

181ー一休み

 大森林に精霊女王がいるなら、精霊王には分かるらしい。だが、居る気配がない。だからこそ、ハル達に頼んだのだ。

 だが、どの国にも精霊女王はいなかった。もうヘーネの大森林しか残っていない。

 いや、正確にはセイレメール王国もまだなのだが。念のため、長老が確認する。


「まさか、海底に行かれているのではないでしょうな?」

「海底は海の精霊がいるのだ。だから精霊女王が行く事はない」


 ほうほう、海の精霊がいるのだそうだ。それは見てみたいのではないか?


「海のしぇいれい!?」


 ほら、ハルちゃんが大きなお目々をキラッキラさせているぞ。


「ハル、行かないぞ」

「えー、りひと。なんれら?」

「そりゃそうだよ。精霊女王様が、行く事はないと分かっているんだ」

「しょっか。けろ、見てみてーじょ」

「まーな」


 なんだ、リヒトも興味があるのか。


「でも、行かないぞ」

「しゃーねー」


 ハルちゃんは、相変わらず態度がデカイ。精霊王にもタメ口だし。何気に1番前に、デデンと立っているし。

 しかし、このヘーネの大森林しか残っていないのだ。


「とにかく、精霊樹を確認して来るとしましょう。もう他国には居られないと分かっておりますからな」

「長老、手間を掛けるな」

「いえ、何を仰います」

「ハルもすまぬな」

「きにしゅんな」


 やっぱりハルは、タメ口だ。

 そして、城の中庭にハルと奴の声が響いている。そう、ハルを待っていたフィーリス第2皇子だ。この2人が寄ると碌な事をしない。

 今日もお目付け役のルシカが目を光らせている。


「もっしもっしかぁめよ〜、かぁめしゃ〜んよぉ〜♪」

「アハハハ! ハルはその歌が好きだな!」

「亀しゃんのお歌ら! かぁめしゃ~んよぉ~♪」


 ハルがこのお歌を歌っていると言う事は、そうだ。ウルルンの泉に棲みついている、大きな亀さんに乗っているんだ。先頭にコハルさん、その後ろにハルとフィーリス殿下が乗って、のっしのっしと大きな亀さんが行く。

 その亀さんは聖獣で、しかも水神様の遣いではなかったか?


「ハルちゃぁーん、あたしが乗せてあげるわよぅー!」


 白い奴が隣を歩いている。最近、こればかり言っている。


「しゅしゅ、あとれなー」

「ええー! そんなぁー!」

「よし! いくじょー!」

「行くなのれす!」

「行くのだぞーぅ!」


 亀さん、大丈夫だろうか? 迷惑ではないのかな?

 シュシュに乗って走り回るよりはマシか? それでもそろそろルシカの我慢が限界みたいだぞぅ。


「ハル! 危ないですよ!」

「亀しゃん、すぴーろあっぷれきねーか?」

「無理を言うではないわ」

「しゃーねー」

「だからハルちゃん、あたしなら早く走れるわよー!」

「シュシュ、あとれなー」


 おやおや、つれないね。ハルちゃん。


「またハルとフィーリスか!」


 第1皇子のレオーギル殿下までやって来てしまった。これはもうヤバイぞ。


「こら! フィーリス! ハル! また聖獣様に乗って!」

「ハル! 戻って来なさい!」


 ほら、叱られた。ハルもフィーリス殿下も、毎度毎度懲りないね。


「ハル、兄上が来てしまったぞぅ」

「まじーな」

「拙いのだ。戻るのだぞぅ」

「戻るなのれす」


 コハルもいつも一緒なのに、叱られる時にはちゃっかり亜空間に入っていていない。要領の良いコハルさんだ。

 大きな亀さんがUターンをして、レオーギル殿下とルシカが待っている方へとのっしのっしと戻って来た。


「ハルは、本当に毎回毎回」

「フィーリス、お前もだ」

「そう叱るでない。ワシも楽しいのだ」

「しかし、聖獣様」

「よいよい。ちびっ子は元気でよい」


 そんないつものパターンで叱られ、ハル達はリヒトの実家に戻って来た。

 今か今かと表で待っていたのが、リヒトの母であるリュミ・シュテラリールだ。


「ハルちゃん! お帰りなさい!」

「かーしゃま! たらいまー!」


 ハルが躊躇せず、走って行く。それをしゃがんで抱きとめるリヒトの母。

 ハルちゃん、素直な可愛らしいちびっ子になったものだ。


「ただいま戻りました。母上」

「お帰りなさい。長老もお疲れ様でした」

「いやいや、また行かねばならないのだ」

「え? そうなのですか?」


 これからヘーネの大森林を捜索だ。取り敢えず、リヒトの実家で一休みらしい。応接室でオヤツを貰っている。


「ぶどうジュースとりんごジュース、どちらにしましょうか?」

「りんごじゅーしゅがいいじょ」


 イオスの父、ロムスに世話を焼かれているハル。ロムスは平常心の様な顔をして、平静を装ってはいるがちびっ子が大好きだ。もちろん、ハルが大好きだ。

 なんなら、カエデの世話も焼きたいらしい。


「カエデも座りなさい。疲れたでしょう?」

「ロムスさん、大丈夫やで」

「そうですか? ジュースを飲みますか?」

「うん、有難う」

「皆も構いませんから、座りなさい。皆が座らないと、カエデが座らないでしょう」


 ちょっぴりイオスが、笑いを堪えている。ちびっ子大好きエルフなのだから仕方がない。


「今日は父上と兄上は出掛けているのですか?」

「そうなのよ。ヘーネの大森林でね、魔物同士が争っているとか言って呼ばれて行ったわ」


 リヒトの父親は、ガーディアンの総司令官だ。なのに現場に出るのか? 総司令官が呼ばれるなど、大変な事が起きているのではないか?


「また、じっとしていられないのでしょう?」

「そうなのよ。態々あの人が出なくても大丈夫なのよ」


 ……だ、そうだ。少々脳筋気味で「野菜で力が出るか!」がモットーの、リヒトの父らしい。


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