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ちびっ子転生者は手に負えないッ!Returns 〜精霊女王がピンチらから聖獣と一緒にちゅどーん!しゅりゅ〜  作者: 撫羽
第3章 あんしゅてぃのしゅ大公国ら!

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176/220

176ーでけーな

 ツヴェルカーン王国の火山地帯のど真ん中。そこにある遺跡に降りる入り口付近へと転移してきた一行。

 火山地帯とはいえ、木はまだ生えている。ドラゴシオン王国の様に寒い地域に見られる針葉樹ではなく、広葉樹だ。

 遺跡の入り口にも枯葉や小さな枝が落ちている。

 大きな丸い入り口がある。付近にある2つ対になっている、飾りの付いたプレートにイオスとルシカが同時に乗ると、ゴゴゴゴと鈍い音を立てて左右に開いた。

 中からモワッと生温い空気が出てくる。

 遺跡の調査で開けた時から、まだ数ヶ月しか経っていない。それでも、空気が澱んでいる。

 地上に開いた入り口から、長い螺旋階段が続いている。そこを降りて行くのかと思いきや、長老の転移で一瞬のうちに下へと降り立った。


「ほんと長老って、規格外よね」

「ほんまやわ。めちゃ便利やけどな」


 こらこら、カエデ。長老の能力を便利とはどうなんだ?


「だろう? 便利だろう」


 長老本人が、便利と言っているから良いだろう。


「おりぇも、転移できりゅじょ」

「あー、ハルちゃんのはいいわ。体に悪いもん」

「なんれら? わりゅくねーじょ」

「だってハルちゃんの転移は力技やからなぁ。胃がひっくり返るねんなー」

「しょんなことねーじょ」


 ハル本人は、平気らしい。だが、以前ハルの転移を経験したカエデやイオスは、プルプルと首を横に振っている。


「アハハハ。まあ、経験だ」

「長老程じゃないが、俺も転移できるぞ」

「リヒト様の転移は、まだ経験した事ないやんな」

「あたしだって、できるわよー」

「シュシュは、ハルちゃんよりあかんわ」

「カエデ、何よぅ」


 はいはい、それは良いから精霊樹だ。この遺跡の中にあるのだろう?


「ハル、分かるか?」

「じーちゃん、この部屋じゃねーな。あっちのでっかい方れもねー」


 ハルが言う『でっかい方』とは。

 今ハル達がいる部屋にも巨大なクリスタルの魔石が設置されている。浄化したばかりだから、透明なクリスタルが輝いている。

 その部屋の奥に、サッカーフィールド程の大きさの部屋があるんだ。そこに魔石を敷き詰めた大きなプールの様なものがある。

 直径10メートル位はある巨大な円形のプールの様なものが5つ。台座の様な物が埋め込まれ、そこにはビッシリと魔石が嵌め込んである。上部には大きな魔法陣が描かれて制御されている。

 魔石を嵌め込んである円形の台座と、天井に描かれている魔法陣の間には古代の言語で書かれた術式が太いパイプの様に繋がり微かに揺れている。

 火山活動のエネルギーを、少しずつ影響がない程度に吸収し放出している。

 この設備のお陰で、大きな噴火を回避できているのだという。

 太古のエルフ族が精霊に指導され、各種族が協力して作られたものだ。

 その部屋でもないと、ハルは言っている。


「ワシのワールドマップでもそうだ。隣に空間があるようなんだが」

「じーちゃん、しょうか?」

「ハル、ワールドマップを見たか?」

「見たじょ」


 長老の腕の中から降り、壁伝いにトコトコと歩くハル。片手で、壁画の描かれている壁をペシペシと触っている。


「多分、こっちなんら」

「そうだな」


 ハルが壁をペシッと触った時だ。

 何も描かれていなかった壁が、揺らいだ。


「ハル」

「じーちゃん、今のなんら?」

「ハルに反応したのではないか?」


 そう言いながら、長老も壁を触ってみる。ハルの様にペシッとではなく、しっかり壁に掌をつけた。

 するとさっき揺らいだ壁が、今度は左右に揺れながら開いた。


「ワシでも良いのか」

「じーちゃん、しゅげーな」


 遺跡にある壁画の中で、ハルにしか反応しない壁画があった。きっと今回もそうだと、長老だけでなく皆が思っていた事だろう。

 それが、今回は長老にも反応した。


「エルフ族なら反応するなのれす」


 コハルがいつの間にか、ハルの亜空間から顔だけ出している。ヒポポと並んでだ。


「こはりゅ、知ってんのか?」

「もちろんなのれす」

「ぶも」


 知っていたのなら、最初から言ってくれれば良いのに。コハルは時々こんな事がある。天然とでも言うのか? 聞かれていないからと、答えそうだ。

 とにかく、もう一つ部屋があった。そこに入ってみると、また驚いた。


「でけーな」

「世界樹ほどじゃないぞ」

「リヒト、世界樹と比べてはいかんだろう」


 リヒトが比べたくなるのも分かる気がする。今までの精霊樹とは比べ物にならないくらいに、大きく立派な精霊樹が5本生えていた。

 地下といっても広い部屋だ。だが、魔石が設置されている作られた部屋ではなく、地面や壁、天井も剥き出しになっている。

 ドームになった大きな洞穴の様に感じるその部屋に、精霊樹があった。


「ハルちゃん、綺麗ね」

「ほんまやな」

「元気らな」


 この国の精霊樹を見るようになって、アンスティノス大公国の精霊樹がどれだけ弱っていたのかよく分かる。

 精霊樹自体の大きさもそうだが、幹や枝の太さが違う。葉のつき方や緑の色さえも違う。もちろん、輝き方が全然違うんだ。


「とっても綺麗で眩いわ〜」


 と、シュシュが言うように、眩しいくらいに輝いている。

 それに5本も生えていた。それだけ必要な場所なのだろう。


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