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ちびっ子転生者は手に負えないッ!Returns 〜精霊女王がピンチらから聖獣と一緒にちゅどーん!しゅりゅ〜  作者: 撫羽
第3章 あんしゅてぃのしゅ大公国ら!

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172ーしゅくねーじょ

「私は長老が杖を使うのを初めて見ました」

 

 ロマーティとシオーレだ。同じエルフ族でもそうなのか。

 長老はやり過ぎるんだ。杖が必要なのか? と、聞きたいくらいだ。


「それよりも、あれは実なのですかな?」


 宰相の疑問だ。無理もない。だって、りんごのような形をしているが、見た目はクリスタルなのだから。


「あれが精霊樹の実なのですよ」


 すかさず、ルシカがフォローしている。

 精霊樹に元気がない場合は、あの実を預かっているコハルが出して植えるのだと、補足も忘れない。


「え、なりゃこはりゅ。しぇいれいじゅうは、こんらけか?」

「そうなのれす」

「えー、ちゅまんねー」


 ハルちゃん、つまんなくはないのだぞ。


「こはりゅ、植えねーのか?」

「必要ないなのれす」

「ええー、もっといっぱい、しぇいれいじゅうが出てこねーのか?」


 どうやら、ハルはもっと沢山の精霊獣を期待していたらしい。確かに、アンスティノス大公国ではそうだった。

 精霊樹に元気がないからと、コハルが実を出し沢山植えた。その精霊獣がワラワラと出てきて、ハルは嬉しそうだった。


「あの実が自然に落ちて、精霊樹になり精霊獣も生まれるなのれす」

「こはりゅ、今がいいじょ」

「充分なのれす」


 コハルも譲らない。と、言うかコハルは今の状況を判断して言っているだけだ。

 ハルの期待がどうとかは考えていない。気付きもしていない。


「しゃーねー」


 ハルちゃん、諦めたみたいだ。

 そう言うハルの頭や肩に精霊獣が乗っている。尻尾に小さな炎がユラユラと揺れているんだ。


「ハルちゃん、熱くないんか?」

「かえれ、何がら?」

「だって、精霊獣の尻尾に火がついてるやん?」

「あー、あちゅくねーじょ」

「へー、凄いなぁ。燃えてへんしなぁ」


 確かに、ハルの髪や服が燃えたりしていない。しかも、熱さは感じないらしい。不思議なものだ。


「しゃーねー、んじゃ終わりらな」

「こらこら、ハル。ヒポポに聞いてもらう事があるだろう?」

「あ、じーちゃん。わしゅれてたじょ」


 1番肝心な事じゃないか。精霊女王の行方を探しているのだろう? それを忘れてどうする?


「ひぽ、聞いてくりぇりゅか?」

「ぶも」


 ヒポポが、ハルに近づく。何故なら出てきた精霊獣が、皆ハルの頭や肩に乗っているからだ。

 キョトンと立っているハルの、頭や肩に精霊獣。想像してみて欲しい。

 ハルちゃん、何をしていても可愛いぞぅ。


「ぶもぶも」


 ヒポポが話しかけると、精霊獣が何やら話しているらしい。微かに、キュゥと小さな声が聞こえてくる。

 背中にある2対の葉っぱを、パタパタと動かしている。


「ぶもッ」

「しょうなのか!?」

「ハル、どうした?」

「この国のしぇいれいじゅを、まわりゅって言ってたんらって」

「ほう、この国か」


 だが、それがいつの話なのかだ。


「ちょっち前らって」

「さて、どれくらい前なのか」

「長老、だよなぁ」

「ここで考えていても仕方あるまい。次に行こう」


 そうそう。次だ。次はどこだ?


「では長老、城の地下にある遺跡ですかな?」

「そうですな」


 宰相が話した通り、次は城の地下にある遺跡に向かうらしい。地下にある精霊樹は初めてだ。


「ハルくん、その精霊獣に私も触れないかな?」


 ルシカの説明を聞きながら見ていたドワーフ王だ。触りたかったらしい。


「ん? しゃわりぇりゅじょ。ほりゃ」


 ハルが肩に乗っていた精霊獣をそっと両手に乗せて、ズズイとドワーフ王の前に出した。


「おおー!」


 ドワーフ王が、ゆっくりと手をのばす。すると、精霊獣がヒョイとドワーフ王の手に乗り移った。

 キュルと小さく鳴きながら、つぶらな瞳でドワーフ王を見つめている。

 相変わらず、背中の葉っぱを動かしている。


「重さや熱さを感じないのだな」

「しょうらな。どの、しぇいりぇいじゅうも、しょうらじょ」

「ハルちゃん、自分も触りたい!」

「いいじょー」


 ハルはまたヒョイと、精霊獣を差し出す。すると、精霊獣も抵抗なくカエデの手に乗りそのまま肩まで登って行った。


「にゃぁ〜、可愛いにゃぁ!」

「カエデ、ズルイわよ」

「なんでやねん。シュシュも乗せてもらったらいいやん」

「ハルちゃん、あたしも! あたしも触りたいわ!」

「おー」


 ハルが同じ様に、精霊獣をシュシュに差し出した。だが、精霊獣が動かない。


「え? なんで? どうしてなの?」

「にゃははは! シュシュは嫌われてるんやわ」

「なによ、カエデ!」

「シュシュは聖獣だからなのれす。シュシュの方が、ちょびっとだけ偉いなのれす」

「やだ、そうなの?」


 そうらしい。聖獣と精霊獣の関係性は分からないが、どうやらシュシュの方がほんの少し偉いらしい。だから、精霊獣は乗りたがらないんだ。


「でもまだ、ピヨピヨなのれす」

「もう、コハル先輩。それは言わないで」


 精霊獣は精霊女王に従うもの。聖獣はこの世界の神が認めたもの。その差なのだろうか?


「かじゅはしゅくねーし、お歌も歌えねーし」


 こらこら、ハルちゃん。何を言っているんだ。


「アハハハ、ハルは物足りないか?」

「らって、じーちゃん。しゅくねーじょ」

「この国は瘴気を浄化する設備が、しっかりとしておる。だから、精霊樹もこれで充分なのだろう」


 なるほど。長老、さすがだ。

 さて、次は城の地下だ。


お読みいただき有難うございます!

昨日投稿したつもりが、できていませんでした^^;

申し訳ありません。

本日、ハルちゃん第1巻が発売です!

お手に取って頂けると嬉しいです!

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