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ちびっ子転生者は手に負えないッ!Returns 〜精霊女王がピンチらから聖獣と一緒にちゅどーん!しゅりゅ〜  作者: 撫羽
第3章 あんしゅてぃのしゅ大公国ら!

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139ー宝の持ち腐れ

 さて、朝食も沢山食べた。ハルはソファーにデンと座って両手を胸に当て目を瞑っている。

 お馴染み、ワールドマップを見ている。


「じーちゃん、やっぱ真っ白白ら」

「そうか?」

「ん、じぇんじぇんわかんねー」

「貴族街だから目立つ建物もないしな」

「しょうらな」

「ここから遠いかどうかも分からんか?」


 長老はワールドマップの見方を教えようとしている。真っ白だったとしても、今いる場所から遠いかどうか位は分かるだろう。


「ん~、ちょっち遠いのか?」

「そうだな」

「反対側じゃねーな」

「そうだ。そこまでは行かない」

「けろじーちゃん、近くはねーかりゃな」

「そうだな、直ぐに向かおう」

「おー」


 一行が向かったのは、2層の貴族街。その中にある一軒の邸宅だ。

 2層は一周するのに、馬でゆっくり移動しても1日は掛からない。半日あれば充分だ。

 リヒト達が入門した門から反対側までは行かない。その少し手前。

 流石に貴族街だ。一軒の敷地が広い。どの邸宅にも立派な門壁があり、その入り口には門兵が立っている。

 道は白い鉱石で舗装されていて、馬車が充分に行き違いできる幅を取ってある。

 その両側に歩道があり、街路樹が等間隔に植えてある。

 それも、復興時にエルフ族が植えたものだ。復興前とは段違いに緑が増えた。

 それまでは、各邸宅の庭に見た目を重視して咲かせた花位だった。どの邸宅にも専門の庭師がいるのだろう。見栄えが良い様に植えてある。

 だが、それだけだ。街の中に緑は少なかった。ほとんど無い状態だった。

 それが、道の両側に街路樹が並び街の中心にあった噴水の周りにも、低木の木が並んでいる。

 精霊が好みやすい環境を整えてあるんだ。


「前とはじぇんじぇんちげーな」

「フィーリス殿下が設計したからだろう」

「ふぃーれんかは、しゅげーな」

「ハルの友たちだろう?」

「しょうら。おともらちら」


 リヒトの馬に揺られながら、ハルとリヒトが街を眺めながら話している。


「ハル、精霊はまだいないのか?」

「ちょびっとらけいりゅな」

「ちょびっとかよ」

「しゅぐにはふえねー」

「そうだな」


 以前は全然いないと言っていたんだ。それに比べると進歩だ。

 そんな貴族街をエルフの一行が馬でパッパカと進む。それは目立つ。

 ハルも含めて全員がフードを被っているが、それでも隠しきれていない。眉目秀麗、容姿端麗。人通りはそう多くはないが、それでも皆振り返る。


「やっぱリヒト様達はイケメンやもんな。ミーレ姐さんも黙ってたら美人さんやし」

「カエデ、黙っていたらって何よ?」

「そのまんまやん。黙ってたら超美人さんやのに、喋ったら一気に姐御感が増すからな」


 カエデの言う通りだ。


「長老、次は何処なんだ?」

「次か? それがなぁ」

「なぁに? 長老」

「アヴィーは面識がないか?」

「貴族かしら?」

「ああ。そこの奥にある1番大きな邸宅だ」


 長老が、メインの道から少し奥に入った大きな屋敷を指した。

 敷地も屋敷も他の屋敷より大きい。そして、歴史が感じられる。

 煉瓦色の壁の下部を、ヘデラ類の様な植物が伝い雰囲気を醸し出している。

 白っぽい窓枠が映える。大きな邸宅なのに、威圧感を与えないのは童話に出てきそうな雰囲気があるからだろうか。

 仰々しい豪華さがないのだ。古くからそこにあるのだろう。手入れが行き届いた前庭には低木もある。高さのある木がないのは、防犯の意味もあるのだろうか。

 だが、門壁が邸より新しい様だ。


「ここも魔物に壊されたのだろう」

「あら、宰相のお宅じゃない?」

「宰相なのか?」

「ええ、多分そうよ」


 宰相だと? 現在の宰相なら長老も面識があるだろう。リヒトやルシカもだ。

 なんせ前回アンスティノス大公国に来た時に、大公の執務室へ突撃している。その時に宰相も部屋にいたのだ。

 何もない空間に突然現れたエルフを見て、大公よりも大きくあんぐりと口を開けて驚いていた。


「そうか。ワシは誰の邸か分からん。宰相なら大丈夫だろう」

「長老、その宰相の邸にあるのか?」

「どうやらそうらしい。多分、位置的に裏庭の片隅にあるのではないかと思う。ハル、見てみなさい」

「よし。じーちゃん、わかったじょ」


 リヒトがハルのお腹に手を回して支えている。ハルは両手を胸に当て目を閉じる。


「ん〜、ちけーな」

「だろう?」

「ん、しょこの奥じゃねーか?」

「そうだ。分かったか?」

「よゆーら」


 こらこら、ハル。余裕ではないだろう。真っ白だから全然分からないと言っていたではないか。

 近くなったら、なんとなく分かるらしい。どっちの方向で、あそこら辺て程度なのだろう。


「じーちゃん、しょういえばわしゅりぇてたじょ」

「ハル、何をだ?」

「おりぇの手にある印が光りゅんら」

「ワッハッハ。忘れていたな」


 こらこら、折角精霊王が気を利かせて授けてくれたのに。


「ハルちゃん、光っているのかしら?」

「ばーちゃん、しょうなんら。らから思いらしたんら」


 ああ、本当に宝の持ち腐れだ。


「ハルちゃん、今まで気がつけへんかったん?」

「光ってんなーって思ってたじょ」


 思っていただけだったらしい。

 精霊王は悲しむよ。


お読み頂き有難うございます!

お待たせしました!?

出来たてです!誤字報告お待ちしてます。^^;

宜しくお願いします!

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