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ちびっ子転生者は手に負えないッ!Returns 〜精霊女王がピンチらから聖獣と一緒にちゅどーん!しゅりゅ〜  作者: 撫羽
第3章 あんしゅてぃのしゅ大公国ら!

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137/220

137ー目立ってた

「有難うございましたッ!」


 そう言って、騎士達は頭を下げた。

 何故か、見物人から拍手が起こった。ハルは意味が分からず、長老に抱っこされてキョトンとしている。


 ――ちびっ子! スゲー強かったぞ!

 ――猫ちゃんもよ! カッコよかったわ!

 ――(あね)さん! 素晴らしい!


 誰だ? 姐さんと言っているのは。まるで、姐御のようじゃないか。

 それにしても、もう夕焼けだ。暗くなってきたぞ。


「じーちゃん、はりゃへったじょ」

「そうだな、戻ろう」

「ハルちゃん、おもしろかったな」

「まあなー」

「ふふふ」

「騒がせてしまってすまんな」


 長老が、集まっている人達に向かって一言そう言った。


 ――ああ、カッコいい!

 ――いいもん見せてもらったぜ!


 集まった人達の中から、口々に声が掛かる。

 もっと目立たない様に大人しくできないものか。

 ハル達が宿の方へと歩いて行く。撤収だ。その一行を、見物人が見ている。

 拍手をしている者がいる。チラホラと、軽く頭を下げている者までいる。皆、魔物から街を救ったのはエルフだと知っているんだ。

 魔物からだけじゃない。何度も毒に侵された。その時に助けに来たのもエルフだ。リヒト達だったんだ。

 それを見ていた者もいる。実際に身内を助けてもらった者もいる。

 アンスティノス大公国の頂点近くにいる、貴族達はどう考えているのかは分からない。だが、確実に民の間には広まっている。

 エルフ達がしてきた事を。誰が手を差し伸べたのかを。

 部屋に戻るとルシカが夕ご飯を作って待っていた。


「遅かったですね? もう夕食は出来ていますよ」

「ルシカ兄さん、遅くなってごめん。手伝われへんかった」

「構いませんよ。並べるのを手伝ってください」

「はいにゃ」


 カエデは元気だね。

 ハルちゃんはというと……


「はりゃへったな」


 そう言いながら、シュシュを抱っこしたままソファーにデデンと座っていた。

 そのハルの腕の中で、ゴロゴロと喉を鳴らしているシュシュ。まるで、猫ちゃんだ。


「あれはいかんぞ。イオス、他に場所はなかったのか?」

「そうなんですよ。ちょっとだけのつもりが……アハハハ」


 ちょっとだけではないだろう。ハルとカエデの二人とガッツリ対戦していた。その上、目立ってしまって騎士達と対戦だ。


「ねえ、ハルちゃんは見ていたの?」

「ちげー、ばーちゃん。おりぇもいおしゅと対戦したんら」

「あら、そうなの?」

「ん、負けたけろな」

「ふふふ、まだハルちゃんはちびっ子だもの」

「でも、ハルが魔法を使ったら俺は負けますよ」

「そうね、ハルちゃんの魔法には敵わないわね」

「しょっか?」

「そうよ」

「ハルちゃんは強いもの~。でも、騎士には楽勝だったじゃない」


 シュシュが喋り出した。ハルの膝の上からピョンと飛び降りたかと思ったら元の大きさに戻る。


「え? 騎士って何なの?」

「アヴィー先生、また騎士と対戦したんだよ」

「どうして鍛練で騎士と対戦になるのよ?」

「あんなに目立ってたらなぁ」

「アハハハ」


 イオスが苦笑いしながら、アヴィー先生に事の始終を説明した。


「呆れたわ、騎士が勝てる訳ないじゃない」

「最初は舐めていたみたいッスけど」

「ハルちゃんとカエデにミーレだからでしょう? 相手の実力を計れていないのね。まだまだだわ」

「これ、アヴィー」

「でも、長老。楽勝だったのでしょう?」

「そりゃそうだ。騎士といっても実戦の経験がないんだ。負ける訳があるまい」

「そうよね」

「そんなの、当たり前じゃない〜」


 シュシュがグググッと体を伸ばしている。


「ああ、肩が凝っちゃうわ」


 首を動かして、コキコキと鳴らしている。虎でも肩が凝るのか? そんな事はないだろう。


「窮屈なのよ、気持ち的にね」

「分かるわ。この国は制約が多いもの」

「アヴィー、何か我慢しているのか?」


 長老が無謀にもアヴィー先生に突っ込んだ。


「あら、長老。この国だと我慢だらけよ」

「どこがだ?」


 おっふ。長老は勇気がある。怖いもの知らずなのか? 自分から爆弾に突っ込んで行く様なものだ。

 だが、長老にしかできない事だったりもする。


「あら、まるで私が何も我慢していないみたいじゃない」

「そう見えるがな」

「まあ、失礼だわ。我慢しているわよ。本当ならさっさとエルヒューレに帰りたいもの」


 え? アヴィー先生は長年この国で店を出していたではないか。


「ハルちゃんと一緒にいたいもの」


 ……そこか。ハルのファンクラブ会員だったのを忘れていた。名誉会員だ。


「あれ程、帰って来いと言っても聞かなかったものを」

「今は違うの。ハルちゃんと一緒にいるのよ」

「私も~」


 同じく、ハルのファンクラブ会員の白い虎だ。


「それより、ハル。次の場所は分かるか?」

「じーちゃん、わかんねー」

「またか。真っ白か?」

「しょうら」

「ハルは前に来た時、2層にも入っただろう?」

「けろ、真っ白白ら」

「そうか」


 以前来た時、ハイヒューマンの最後の生き残りだったスヴェルト・ロヴェークを追って来た時だ。

 あの時は魔物が2層と3層に出現して、エルフ族最強の5戦士が討伐に当たった。

 その時にハルも長老やリヒト達と一緒に居たんだ。


「真っ白白ら」

「アハハハ、そうか」


 長老のワールドマップでは違うらしい。


お読みいただき有難うございます!

今日も出来たてホヤホヤでっす。

最近、毎回綱渡り^^;

宜しくお願いします!

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