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第6話

 泣いているマリを、俺は頭を撫でた。

 どうしていいのかわからなかったけど、こうするしかないような気がした。

 

「水亀君、あたしのお願い聞いてくれる?」


「そのお願いによるっす」


 いやな予感しかしなかった。


「あたしをいじめた朱莉あかりに復讐して」


「いくら君の頼みだとしても、それはさすがに引き受けられない」


「どうしてよ・・・?

聞いてくれても、いいじゃない?」


「これは、根本的な解決になってないからだ。

それに、復讐をすれば、また誰かが俺に復讐してくる。

それなら、何もできない方がまだいい」


「水亀君は、お人よし。

偽善者になりたいの?


あたしはこんなに苦しくて、過去のトラウマは消えてないの。


なら、過去からやり直して、いじめられる前のあたしを救ってよ」



「どうやって、やり直すのさ?


それに、過去に戻ったからって、確実に防げるわけじゃない。


そんなリスクを負うようなことをするなら、素直に俺に従うっす」


 僕は、マリの背中を撫でた。

 どうにかして、安心させるしかない。


「水亀君、あたしは過去の恋人も、友達も、親戚も、ぜーんぶ朱莉に奪われたの」


「・・・・・・」


 僕は、何も答えることができなかった。


 なんて答えることが正解なのか、わからなかったから。


「復讐はできない。

ただ、できることがある」


「できること?」


「マリ、改心してくれないか?


いじめ殺しなんかじゃなくて、俺のパートナーになるっす」


「何を言い出すかと思ったら、そんなこと?」


「俺には、水亀がとりついている。


君のことも、もしかしたら浄化できるかもしれない」


「浄化するなら、朱莉を浄化してよ」


「誰でも、浄化できるわけじゃない。


マリのトラウマも、洗い流せるかもしれない、という話だ。


憤怒のいじめ殺しの指揮者になるくらいなら、マリが過去にとらわれないようにするっす。


俺も、ごめん。

マリを助けられなくて。


だけど、これからは守っていける。


だから、俺の仲間になってっす」


 マリは、涙を両手で拭っていた。


「あはは、変な人。


だけど、これであたしのことを守ってくれるの?」


「嘘なんて、ついてない」


「あはは、だけど朱莉は指名手配犯だよ。


連続殺人犯なの。


ストーカーだし。


こんな状況でも、あたしを守りきれるの?」


「朱莉は、普通の人間じゃないのか?」


「多分ね。


何が能力を持っているとか、そんな話は聞いてないから」


「万が一のためにも、本部にも連絡しとくっす。


何があるかわからないから」


 僕は、本部に事情を隠し、朱莉の身柄を確保することにした。

 

 あとは、朱莉を向こうに連れていけば、眠りにいじめ殺しの調査の依頼は、完了となる。

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