第1話
俺は、どこにでもいる一般人。
短い黒い髪と黒い瞳の俺は、今日も紺色の学ランを着て、学校に向かう。
「待っていたのです」
俺が玄関を開ける頃には、笑顔で先輩が待っていた。
「一緒に登校したかったのです」
先輩は、背中まで長い銀髪に、青い瞳を持ち、学校指定のセーラー服に、赤いスカーフを巻いている。
学校によっては、スカーフをスカーフ留めで止めるセーラー服を指定する学校もあれば、スカーフを自分で巻く学校もあるみたいだけど、うちの学校は後者の方だ。
先輩の名前は、ビアンコ。
一人称は「あたくし」で、常にだれにでも敬語で話す。
後輩の俺に対しても、敬語を使う。
しかも、ただの敬語ではなく、アニメでよくあるなのです口調も混じったような話し方だ。
なぜ敬語を使うの謎だけど、髪が銀髪碧眼なのはもっと謎だった。
日本人と外国人とのハーフなのだろうか?
それとも、アルビノとか、色素が薄くなってしまう病気とか?
そう思うと、本人に髪や瞳の色を指摘しづらかった。
「今日も遅かったのですね、後輩君」
「その呼び方、何だよ?
というか、名前知ってるなら、名前で呼んでほしいな」
先輩には、俺と同い年の弟が一人と、先輩のひとつ年上の従兄がこの学校にいる。
つまり、俺と先輩の弟が、1年生。
先輩が2年生。
先輩の従兄が、3年生。
なんやかんやで、俺の日常は続くのだと思っていた。
どうして、こう思ったのか確信も、根拠もなかった。
俺のことが大好きすぎる従妹は、俺が家に帰ってきたら、ずっと抱き尽きたまま離れたがらない。
俺は一人っ子なので、この子が妹みたいなものだった。
従妹なんて、血はそこまで離れていないし、世の中の人たちは大体、そんなものではないかなと。




