聖剣泥棒を捕まえろ!
私、リリ・デュ・ラックは泉の乙女の一族として数ある聖剣の一つの管理を任されてる。
数百年前の人魔大戦の時に軍事目的で開発されてた技術で便利で平和的な魔道具を作る研究をしてたんだけど…
「…泥棒かしら」
この時間家族はみんな仕事に出かけてるはずなのに屋敷が騒がしい。
私は試作品の発明品『ゴヨーダ君3号』(狙った相手を縄でぐるぐる巻きにする魔道具)を握りしめ様子を見に行くと…
「俺は…勇者だ!」
黒髪黒目の若い男が岩に刺さった聖剣(誰にでも抜ける)を掲げ笑っている
「泥棒!お縄につきなさい!」
私は『ゴヨーダ君3号』を起動するも
「ハァ!」
と掛け声を上げ聖剣を振る男に空中で縄を叩き落とされてしまう。
「レベル1だとこんなものか…魔王討伐に向けてすぐに修行しなくては…さらばだ!」
そう言って男は私の脇を抜け走って行く。
唖然としていた私もあとを追いかけるも男女の体力の差か追いつけずに逃がしてしまう。
「お姉ちゃんに相談しなきゃ!」
私は半泣きになりながらお姉ちゃんの職場、騎士団に走る。
「お姉ちゃーん!」
騎士団の訓練場で素振りをしている姉を見つけたので声をかけると、お姉ちゃんは凄くびっくりしている
「リリ?どうしたの?」
「あのねあのね!家にね!泥棒が入ってね!聖剣盗られちゃった…」
「泥棒!?大丈夫?怪我はない?」
お姉ちゃんは心配そうに私の体をぺたぺた触って確認する。
「うん…」
お姉ちゃんは涙でぐちょぐちょになった私の顔をハンカチで拭くと頭を撫でてくれる
「盗難届けとかは私がやっておくからリリは他に盗られたものがないか確認しておいてくれる?」
「うん…わかった…」
夕方過ぎにお姉ちゃんが疲れた様子で家に帰ってくる
「ただいまー、他に無くなったものとかあった?」
「えっと…タンス預金とかポーションとか!あと何故か徹底的に陶器類が壊されてるの…」
お姉ちゃんは頭を抱えて言う
「今日一日ですごい件数の被害届が出てるの…急に剣を持った黒髪黒目の男が家に押し入ってきてタンスを開けたり壺を壊したり…でもこれだけ情報があるんだもの明日には捕まってるわ!だから安心して今日は早めに寝なさい?」
「はーい!」
犯人が捕まれば盗まれたものはちゃんと帰ってくるだろうという事でお姉ちゃんの言う通り早めに寝ることにした。
翌日の早朝にお姉ちゃんが新聞片手に私の部屋に入ってくる
「リリ!これみて!」
その新聞には【黒髪黒目の自称勇者!環境保護区域内で魔獣虐殺か!】
事は大きくなりそうである