表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
魔女に育てられたドラゴンと記憶のない人間  作者: 一蓮托生熊
ドラゴンの住む森
8/34

真夜中の出来事

夜中に意識が覚醒する

目の前に気配を感じた

ゆっくりと目を開ける


「ドーラ…?」


淡い星明りが反射して

燃えるような深紅の瞳が光っている

両方の腕を僕の肩付近に突き立てて

押さえつけられているような恰好になっている


「寝顔が見たかったのじゃ

 すまん起こしたの…」


「まだ夜中なのかな」


「夜明けは遠いの 夜鳥も帰ってこぬ」


「僕の寝顔をみてもつまんないと思うよ」


「そんなことはないの

 それに…あまりに静かに寝ているから

 心配になってな…」


「死んだのかって?」


「いや…もしかしたら…

 消えてしまったら… どうしようかと思ったのじゃ…」


涙声になっている…泣いてしまったようだ


「そうか…ドーラ…おいで」


僕の言葉に腕の力を抜いて倒れこんでくる


「うぅ…すまぬ…」


抱きしめながらドーラを落ち着かせるように語り掛ける


「大丈夫…でも僕はどこにもいかないよ…」


「じゃが…わからんではないか」


「信用がないな」


「まだ一日も立っておらぬ…今後わしに嫌気がさすかもしれぬ…」


ずいぶん心配性なドラゴンもいたものだ


「約束するよ…ずっとここにいるって」


「信用できんのじゃ」


「じゃぁこのまま…信用できるまでどこにも行かないように捕まえててよ」


「そうするのじゃ」


ギュゥ~っと力強く抱きしめられる


「今日はこのまま寝ようか…布団に入っておいでよ」


「まだ同衾は早いのじゃ」


そういって離してくれない

ほとんど同衾だと思うが

同じ布団で寝るのはまだ早いそうだ


「じゃぁ…寒くないならこのまま寝ようか」


「うむ…大丈夫じゃ…おやすみ…お主…」


「うん…おやすみドーラ…」


ドーラのぬくもりを感じながら目をつむる

時折鼻をすする音が聞こえる

まだ泣いているようだった

無言で頭を撫でてみる

抱きつく力がまた少し強くなる


そのまま どれくらい時が過ぎたのだろう

抱きしめらている腕の力が弱まっていき呼吸がしやすくなる

スゥスゥとかわいい寝息を立て始めていた

それを確認して 僕もようやく眠りにつく

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ