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魔女に育てられたドラゴンと記憶のない人間  作者: 一蓮托生熊
ドラゴンの住む森
6/34

一大事

しばらく瞑想したのち

身体が芯から温まってきたのを感じる


「そろそろでようかな」


湯船をでてタオルで身体を拭いたあと気づく


「服がこれしかない」


一大事だ

幸いタオルが大きいので腰に巻き

彼女に呼びかけようと思ったが


「そういえば名前も知らないな…」


そんな当たり前のことも気づかなかった


「うーん さすがにこの服は汚れすぎてる…」


最初に土の上に寝ていたし

これを着て寝るのも忍びない


「おーい!」


少し大きな声で呼びかける


「なんじゃー!」


「ちょっときてくれないかー!」


「一緒に風呂はまだ早いのじゃ~!」


「違う!替えの服がないんだ!」


「おー!そうじゃのー!ちょっとまっておるのじゃー!」


着替えあるようで安心した

着の身着のままである事実を再認識する


「何ももってないんだな僕は…」


ちょっと悲しくなる


「これから増やしていけばいいのじゃ

 ほれ まずこれをやろう」


聞こえてしまったらしく励まされる


「魔女のお古しかないがの」


「十分だ ありがとう」


もうすぐ食事ができるでな~

っと手を振りながら調理場に戻っていく


貰った服に着替えて僕も追いかける


「戻ってきたな ほれ丁度できたのじゃ」


テーブルの上にはすでに料理が運ばれている

スープと少し大きめの焼いた魚


「初日のお祝いじゃ 貴重じゃが塩が振ってある」


「美味しそうだね 頂きます」


食事を二人で楽しむ

魔女との思い出をいくつか聞きながら


「魔女は小食でな 魚や暖かいものは食べんかった

 このスープに入っている実をそのまま数個食べて終わりじゃった

 あとは水を飲むくらいだったのじゃ」


少し寂しそうに語る


「食べられない理由でもあったのかもしれないがの」


「自然に近いものしか取れなかったのかな…」


「そうかの…そうじゃったら人間の姿をしておったが

 ドライアドだったのか ドライアドのつがいだったかもしれないの~」


「つがい…」


「詳しく話すと長くなるがの…

 ざっくり話すと他種族同士でつがいになるとの」


「他種族同士つがいになれるのかい?」


「なれぬ種族もいるが相性にもよるでの

 ドライアドと人間なら格上のドライアドに引っ張られるはずじゃ

 人間はドライアドと人間の混血へと変化する

 子を産むことはほぼできん」


「相性があるんだね」


「見た目は人間のようだったが…

 わしのように見た目が人間に近い何かの亜種なのか…

 今となってはわからんのじゃ」

 でも確かに…人間が居たとてつがいになりたがるのは稀じゃがの~

                     …わし以外はの…」


最後が聞き取れないほど小声だったが

聞かせるつもりもないのか会話を切り上げる


「食事も済んだことじゃし 湯浴みをしてこようかの」


「食器は僕が洗っておくよ」


「いいのかの?」


「僕もこの家で暮らしていくんだし

 できることは任せてよ」


「助かるのじゃ

 調理場の湧き水が溢れて流れているところで頼むのじゃ」

 

「わかった」


「くふふ 洗い終わったら覗きに来てもいいぞ」


「覗かないよ!」


「冗談じゃ まぁわしは鱗が服みたいなものじゃからの

 湯浴みのときは人間の姿に寄せて肌を多く見せるが…今と差ほど変わらんのじゃ」

 

「確かに… でも覗かないよ!」


「じゃ いってくるでな~」


彼女を見送ったあと食器類を洗う

洗いながら考える


「ドライアド…いろんな種族がいるのかな…」


人間は滅んだと言っていた

ドライアドは存在する

人のような姿の彼女しかしらないがドラゴンもいる

他の種族もいるんだろうか…

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