パンか魚か
パンと水だけの簡素な食事を済ませて
焼き終わったパンをテーブルに並べておく
「完全に放熱するまでほっておくのじゃ…
明日の朝 木箱にしまう…」
すっかり元気がなくなったドーラ
「泣きつかれたのじゃ…」
「先に湯浴みしておいで…
そしたら寝よう」
「わかったのじゃ…」
力なく湯浴みに向かうドーラを見送る
タオルを引きずりながら歩いている
椅子に座りながら長い間話した内容を思い返す
「信じてもらう事って 難しいんだなぁ…」
感情をむき出しで泣いていた
良くも悪くも 子供のように素直だった
しばらくして
「湯浴みしてきたのじゃ…お主もいくがよい」
「早かったね」
「うむ…今日はどこにも出かけてないからいいのじゃ」
「そうだね じゃぁ僕も入ってくる」
着替えとタオルを受け取り
湯浴みに向かう
「考えることが多いな…」
湯船に浸かりながら呟く
覚えてないことは覚えてない
それだけで済ませていた
甘えていただけなのかもしれない…
「今は早く戻ろう…」
湯浴みを早めに切り上げて
ドーラの元に帰る
「戻ったよ」
「早かったの」
生け簀の魚を見ている 確か残りは一匹のはずだ
「今日は行商人にも焼いたから独りぼっちなんじゃな…」
そう言いながらパンの欠片を落としているようだ
「いつも木の実なんじゃが…おすそ分けじゃ」
寂しそうに話しかけている
「明日は…魚でも捕まえにいこうか」
「うむ 罠を仕掛けるおすすめの場所を教えてあげるのじゃ」
「ドーラはパンと魚 どっちが好きなんだい?」
「そうじゃの~ さっき固いパンを食べたから今は魚が好きじゃの」
「確かにあのパンは焼きすぎだったね」
「でも起きて最初の食事はパンの方が好きかの」
「僕も朝はパンがいいな」
「そんなことが気になるのかの?」
「ドーラの事はなんでも知りたいし たくさん話したい」
些細なことでも
今すぐ君を知りたいんだ




