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魔女に育てられたドラゴンと記憶のない人間  作者: 一蓮托生熊
ドラゴンの住む森
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洗濯日和

食器は僕が洗うよ

鱗のお礼にはとても足りないが

何かしてあげたい気持ちでいっぱいだ


「助かるのじゃ」


テーブルに肘をつき

手を組み その上に顎を載せて

ニヤニヤしながらこっちを見ている


「くふふ 楽ちんなのじゃ」


「今日はこれから何をするんだい?」


「まずは洗濯でもするかの~

 お主の服やら洗い物があるでな」


「この湧き水で洗えばいいのかい?」


「いいや 食べ物と同じところは避けた方がよい

 そこは狭いしの 外に川が…

 いやせっかくじゃから湖にでもいこうかの」


「案内頼むよ」


風呂場で汚れた衣類とタオルが入ったカゴを持つ

よく見るとツルを編み込んで作ったような物だった

魔女のお手製だろうか


「さて 出発するとしようかの」


「ちょっとまって 一度上階にいってくるよ」


「なんじゃ?忘れ物なんぞあるわけでもあるまい」


なんの荷物もまだないのだから…

そう言いたそうに少しきょとんとしている


「これ 大事だから無くさないように置いてくる

 宝物なんだ」


大事な宝物をドーラに見せびらかす

持って歩きたいが

入れておく場所がこの服にはない


「くふふ わしの鱗ではないか

 そんなに大事か 玄関で待っておるぞ」


長い階段を上り 昨日使ったベッドの枕元付近に

貰った鱗を慎重に置く


「よし」


階段を急いで降りて ドーラの元に向かう

既に玄関で待っている


「お待たせ」


「慌てなくてよい 行くのじゃ」


「カゴは僕が持つよ」


「よい お主よりわしの方力持ちじゃ」


「そういう荷物は男が持ちたいものなんだ」


「しょうがないのう…任せるぞ」


カゴを受け取る

大した重さでもない

しかし歩くのには多少邪魔だろう


「出発なのじゃ~」


「お~」


大樹を裏手に回ると小さい川があった


「この川に沿ってゆくのじゃ

 細いが道もある」


細い道なので並んで歩けそうにない

先頭を僕が歩く


「お主のペースでよいぞ」


しばらく足元に気を付けながら歩く

小さな川もいくつか合流を続けて

だんだんと大きくなっていった


「結構歩いたね」


「湖は丘より遠いのじゃ

 気が乗らんとあまり足を延ばさんの~

 しかし見よ 森の切れ目じゃ もう着く」


「わぁ 大きい湖だね」


目の前に広がる巨大な湖


「洗濯はすぐ終わるでな

 先に話でもしたいのじゃ」


「いいよ 僕もちょっと休みたい」


「ここは夜になるともっと素敵な場所なのじゃ

 あの星が水面に映るんじゃ」


緑の星を見上げる

小さい方がさらに欠けている気がする


「それは見てみたい」


「今度は夜に一緒に見に行きたいのじゃ」


「ははは 今も湖に居るのに気が早いよ」


「くふふ そうじゃな」


「でも楽しみだな…」


しばらく二人で湖を眺めながらそんな掛け合いをする


「座っておれ すぐ洗ってくるでな」


「うん ありがとう」


多少の疲労を感じたので素直に任せる

眠くなってきた

少しだけ目を閉じよう…

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