1/34
出会い
「すまん…先に謝っておくのじゃ…」
誰かの声が聞こえ 意識が少し戻る。
「わしのわがままに付き合わせてしまうかもしれぬ…」
目を明けると周りは暗い 夜だろうか
外なのか 空が見えるが見たことのない緑色の大小の星が二つ
片手を地面につき、半身を起こし声の主を探す。すぐ近くの岩場に人影
まばらにあった雲が晴れ、星から零れる光がゆっくりと彼女を照らす
緋色の長い髪に 燃えるような深紅の瞳が光っている
そして彼女には 尻尾が生えていた。
「もう少し眠っておれ 全身がだるいじゃろ…」
気になることが多かったが確かに体力の限界だった
もう一度 地面に横になり目をつむる
意識を失いそうになる前に 一言だけ彼女に告げる
「おやすみ…」
「あぁ…おやすみ人間…」
薄れる意識の中
目が覚めた時
もう一度彼女に会えますように
そう願った