霊能者黒木1
part 1
「それは…詐欺に加担しろってこと?」
「まぁ…そういう言い方をしちゃうこともできなくはないですかねー」
私は秋田舞、元敏腕刑事にして今は無職の魔性の女だ。
「嘘をつかないで下さい、ここまで描写されていないからと言ってそのレベルで容姿を盛ろうとするのは無理があります」
そしてこの辛辣な人がケルちゃん、痴女だ。
「プロフィールもっと凝って下さいよ!そんな雑な悪口が私の全てだと思って欲しくありません!あと聞き流しかけましたが、あなたは敏腕でもありませんよ!」
それは否定しづらい、何せ私はあの事件の後、現場保全の責任を問われて退職させられたのだ、酷い。
「それで私のところに職を求めて来たと…」
「でも腐っても元警察官、詐欺の片棒なんて担がないよ」
「いや、詐欺ではないでしょう、ただ霊能者として黒木ちゃんがデビューするために、マネージャー役をやってほしいだけですよ」
「それがおかしいんだよ、そもそもあの子超能力とかあるの?」
確か黒木ちゃんは名探偵の娘ではあれど、特に優れているところとかはないという設定だった気がする、ていうか大幅に人より劣った知能と倫理を持っていたと記憶している。
「そこまで言っちゃいますかね…まぁぶっちゃけないんですけどね、霊能力は」
もちろん、超能力もです。と付け加えるケルちゃん、しかしそれでは結局…
「詐欺じゃん」
「でも、そもそも霊能力なんてものが存在しないんですから、世にいる霊能力者というのと黒木ちゃんとでは違いはありません、強いて言うなら血統くらいですかね…詐欺師の血統か、名探偵の血統か、くらいですよ」
「詭弁じゃない?」
まぁケルちゃんの主張は把握した、しかしどうしても気になることがある。
「なんで黒木ちゃんが霊能者デビューするの?」
「それには複雑な経緯があるんですが…話すと長くなりますよ?」
「80字以内でお願い」
「黒木ちゃんが殺人事件に巻き込まれた時、私が非合法な調査をして解決したのですが、推理の方法を問い詰められて咄嗟に黒木ちゃんの霊能力のせいにしたことが原因ですね」
ぴったりだ、すげぇ
「いやすげぇじゃねえよ!」
「セルフツッコミ…今時見ませんよね」
「なんでそこガバガバなの!」
「いや、まさか探偵の推理に対して口出ししてくる人がいると思わなかったので…」
聞けば事件の関係者にテレビマネージャー的な人がいたらしい、それで大々的に広められたようだ、『霊能者探偵』として
「私もまさかこんな『心霊探偵八雲』みたいなことになるとは思っていませんでした、まぁ読んだことないので適当ですが」
「適当に言うなよ、ファンの人から怒られたらどうするんだ…黒木ちゃんは現状をどう思ってるの?」
「ちやほやされて嬉しいって感じですかね」
「楽しそうな人生だな…」
絶対ああなりたくはないが
「はぁ…まぁ仕事がないのは事実だし、引き受けてもいいよ」
「助かりました、私は色々と忙しいので、そう言った雑事をしている暇は無いのです」
意外とビキニ探偵事務所は盛況らしい。客の何割かは確実に探偵よりビキニを目的としてると思う
「ではお願いしますよ!黒木ちゃんのフォロー!」
「……え?」
「え?ではありませんよ、あなたの主な仕事は黒木ちゃんがマスメディアの前でボロを出さないようフォローすることです」
「日程調整とかじゃないの⁉︎」
「そんなの私がやっときますから!くれぐれもお願いしますね!」
「やだよ!絶対無理!」
「おなしゃーす!」
「無理ーーー!!」
この時私は忘れていた。黒木ちゃんはただの無能ではなく、『ただならぬ』無能であることを。彼女が行く場所は常に、影に濃くふち取られたスポットライトの中心となることを。
「あ、ちなみに給与はこれくらいです」
「よっしゃあバリバリ働くぞー!」




