霊能者黒木12
part12
前回、なぜか私のカード入れが入ったことのない病室に落ちていたという事件が起こったので、私たちは今後の方針を立てるため、一旦近所のスーパーの試食コーナーに移動した
「これうめー!」
「あら元気ねー、このウインナー美味しいわよね、一つ買ってかない?」
「みっつだ!みっつかう!」
黒木ちゃんが試食売りのおばさんの術中におち、話し合いそっちのけで買い物カゴにシャウエッセンの袋をどさどさいれてくるが、まぁまったく問題はない
「なぜなら事件の真相を推理するのは結局ケルちゃんだけで、私は状況説明しかしないから!どうせ私達が考えたってわかんないしね!というわけで電話電話!」
数回コール音が鳴ったあと、寝起きだったのかケルちゃんが気だるそうに答えた
「はい、こちらビキニ探偵事務所…新品ビキニのご注文なら①、古着ビキニのご注文なら②、探偵依頼なら③を押してください…」
「え、ビキニ探偵事務所ってビキニ売ってたの⁉︎探偵一本でやってるわけじゃないのあそこ?」
「その声は秋田さんですか、どうなさいました?」
応答としては正しいんだけどもうちょっとビキニについて知りたいな…
「実はさっき安石さんがもう一回刺されて…」
「あー、はい、わかりました、見逃しちゃったんですね、わざわざ私がリストを作ってあげたのに」
「そうだけどそうじゃないんだよ!というかそれだけじゃないんだよ!」
「え、まだやらかしたんですか?一体どれだけ失敗すれば気が済むんですか貴方達は、秋田さんにはちゃんと黒木ちゃんの補佐をしてもらわないと困るんですよ?」
「いや!やらかしてはない!多分!」
実を言えば何気に、安石さんを刺してから逃走する犯人を取り逃しているという失態も重ねてはいるが、そのことはまぁ置いておいて
「なぜか一度も入ったことがないはずの安石さんの病室に知らない間に私のカード入れが落ちてたんだ、おかしくない?」
「カード入れを無くしてたんですか?そしてそこで見つけるまで気付かなかったんですか??迂闊すぎませんか???」
「ぐっ!」
確かに、現代社会においてカード入れを無くすというのは腎臓を無くすくらいの大失敗ではある…あの薄いカード達が現代人の生命線だ
「ていうかそこは重要じゃないでしょ!重要なのは」
「誰が安石を刺したか…ですよね?大丈夫、安心してください、今、完璧に時間の真相がわかりました」
「………え?」
さっきの短い説明で、ケルちゃんには何が見えたというのだろう、私がこの事件から見えたのは自分のリスク管理の甘さくらいだったが…
「この事件の謎はもう完全に晴れました…そう、ビキニが似合う夏空のごとくね」
「ケルちゃん、流石にその決め台詞はやめよ?」




