霊能者黒木8
part 8
「そういえばさ、ケルちゃんの本名ってなんなの?」
張り込み開始から2時間、すっかり飽きてしまった私と黒木ちゃんは病院前のベンチに座って話し込んでいた。
「本名?ケルベロスだろ」
「いや、それは結局偽名でしょ?ケルちゃんの戸籍上の名前ってことだよ」
そう、黒木ちゃんのマネージャー業を始めてから数日経っているのだが(なお、あの事件から数日経ったがテレビ関連の仕事はきていない、もうサブタイトル変えるべきだと思う)未だにケルちゃんは本名を教えてくれないのだ、なぜそんなにも信頼されていないのだろうか
「なるほどな、知らん」
「黒木ちゃんも知らないの⁉︎やっぱり馬鹿には教えてくれないんだ!」
「おい」
冗談はさておき、黒木ちゃんには教えていてもおかしくない…というか教えていない方がおかしいと思うのだが
「ケルベロスっていうのはケルちゃんの探偵ネーム…まぁ雅号みたいなもんなんだよ、そっちを先に知っちゃったから、二つも覚えるの面倒くさくて本名は聞いてない」
「それはなんていうか…可哀想だね」
本名を覚えてもらえないケルちゃんも黒木ちゃんの残念な記憶力も
「黒木ちゃんにはあるの?探偵ネーム」
黒木ちゃんの父親は西黒家達とか名乗ってたし、娘にもその気質は受け継がれてたりして
「ねえよ、やっぱ事件解決の暁には本名をどーんと出して褒めてほしいし」
「黒木ちゃんネットリテラシーとか低そうだね」
SNSをフルネームでやってそう
「お前も考えとくか?探偵ネーム」
「えー、私はやっぱまだ早いかなー、まだ刑事の誇りも消えてないしなー」
「いや嘘つけ、誇りとか消し飛んでるだろ、土埃だろ」
そんなふうにわちゃわちゃと話し続けて張り込みから3時間が経過し…
「あ!」
「突然どうしたの黒木ちゃん⁉︎まさか容疑者が⁉︎」
「今週のポ○モン録画忘れてた!」
「まぁそんなことだろうと思ったよー」
こういう状況では定番のおふざけに対する定番の返しをしていたその時
「ぎゃぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!!!」
どこか聞き覚えのある悲鳴が、静寂を切り裂いた。
「いや、まぁバカ二人のせいで結構うるさかったんだけどね」




