3 意外と信じるってさてはチョロいな…?
「なるほどなぁ…。まぁなんとなく事情は分かったよ。」
少し話を聞いてみることにしたんだが、彼女はこことは違う世界の住人らしい。そこは俺の住む日本とは比べものにならないほど争いが身近な世界らしい。
ファンタジーよろしく魔術を行使することも日常茶飯事、話を聞く限りだとやはり中世ヨーロッパのような街並みだろう。はぁ…いいなぁ…。
「あのー。今の私ってかなりものすごい事を話してると思うんですけどすんなり受け入れちゃうんですねー。なんというかチョロそうで心配になります…。」
人をそんなかわいそうなものを見る目で見つめるんじゃないですよ王女さま?
「いや別になぁー。まぁ俺はラノベ読むしアニメ見るしそうゆうのに慣れてるというか…」
むしろなぜ俺が転生する側じゃないんですかね…
「まぁいわゆるヲタクだからな。その転生うんぬんにびっくりはしないんだよ。あんまし。」
「それでも現実でこんなことあったらびっくりくらいはしてもいいと思うんですけどね〜。迷惑ですし。」
「自覚はあったんだな」
「そこは否定するのが普通では!?」
「まぁ別にいいけどな。じゃあこっちも聞くけど、聞くところ文化的にもかなり違いがあるように感じるんだが大丈夫なのか?言語とか、さっきのヲタクだって…」
「そこはノープロブレムですよ!こっちに飛ばされる際、飛ぶ世界に合わせて魔術で知識の補正が入ります!」
なんて都合の良い…
「すごいなそれ。アニメとかでも言語に苦戦する主人公は多いぞ…」
「だいたい異なる世界に肉体と精神をほぼ完璧な状態に送るという離れ業をやってのける魔術なので、それに比べればそんなことは大してすごくもないのです♪」
「た、確かになぁ…」
「まぁ完全に成功する確率は相当なものなのですが…」
「じゃあお前は相当な幸運の持ち主なんだな。」
「へ?」
「だってその確率引き当てて成功してるじゃん。」
「あははは…そうですね…」
…?今少しだけ表情が曇ったような…。
「おい、」
「じゃあ、そんなわけなんで!改めてよろしくお願いしますね!想大さん!」
「あ…あぁ…」
俺は彼女に言われるまま手を取り、握手を交わした。
こうして俺たちの二人暮らしが始まるのであった…。