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2 転生系「非」主人公

2 転生系「非」主人公




「ん……。」

夜も更け、朝になる。決まって寝る前に開けておくカーテンから光が差し、俺の顔を撫でる。天気も良く、実に気持ちのいい朝だ。

「いや違うな。」

足元に何か温かい感触がある。これは…。

人である。少女だ。昨日の夜、俺の部屋にいたあの少女である。俺のベッドの足にもたれかかって寝ているようだ。

「俺は起きているんだが…。」

頬つねっても普通に痛い。ということはだ。こいつはリアルに俺の家にいるわけか。やはりおかしいぞ。

「俺はコンビニから帰ってきただけなんだが…。」

「んん…うーん……。はっ!寝てました!」

忙しいな、お前は。少女は俺の声に起き、そのまま洗面所へと向かう。

「んー、まぁとりあえずおはよう」

「おはようございます…ってやっと認知してくれましたか…」

「まぁ覚めても続く悪夢はないからな。」

「人を悪夢呼ばわりとはっ!まったくもう…」


数秒のジャブジャブタイムを終え、俺の隣に座り、少女は言った。

「改めまして、ここに昨日から居候させて頂くことになりました、ユーマインド王国元王女のミッシェル・ユーマインドです!」

「おい今なんてった?」

居候?王国?インド?

少女はちゃんと聞いてくれたとばかりに嬉しげな表情だが状況がさっぱりだ。

「まぁちゃんと説明しますんで、まずはお名前を〜」

「あ…まぁいいや。あぁ、俺は瀬戸想大せとそうた。字は想うに大きいだな。ここで暮らしてる高校一年だ。」

「想大…いいお名前ですね〜♪」

「そりゃどーも。で、さっきの王国やらの話だが…。」

「そうですね〜。まぁまずはそのまま信じてくれるとありがたいんすけど…」

なにか嫌な予感が…

「私は、こことは違う世界から来たんですよ!いわゆる転生ってやつですね〜」

やっぱりか…

「やっぱり思考のぶっ飛んだ頭の中ハッ◯ーセットなお嬢様だったか…」

「また失礼な!ほんとですって!ガチですガチ!最後まで聞いてください!」

まぁいいだろう…今日は学校もない事だし…

なにより聞かないと話が進まない。

「私たちユーマインド王国は隣国との戦争にずっと劣勢を強いられてきたんです。地理的にも戦力的にも叶わないとわかっていて隣国は攻めてきました。最後まで戦い抜きましたがやはり敵わず、国は飲み込まれ国王と私たち王女は処刑されるはずでした…」

「はずでした…?」

「しかし、宮廷魔導師たちとお父様は私を逃がすため、最高位の魔法の一つ、転生魔法を私にかけ、私はここにやってきたのです」

さすがにファンタジー過ぎるだろ…

俺の中である感情が渦を巻く。

「なんで…。」

「え…?」

「なんでそんなシチュエーション俺のとこに回ってこねーんだよぉぉぉぉ!」

「えぇぇぇ…不謹慎な…」

そんなこと知るか。確かにそれは悲しい話ではあるが!

「異世界転生なんて普通は主人公じゃねえの!?!?」

「ちょっと何言ってるか分かんないんですけど…」

おいおい神さま…普通こっちの世界から異世界へが当たり前だろ!少なくとも俺の読んできたラノベはそうだったぞ!実際にあるなら俺を選べよ!現実ここで生きる俺を!


急にのたうちまわる俺を見る少女の目は、一気にゴミを見る目つきに変わり…。

「あぁ、転生する場所ミスったかもですねー。」

さらっと信じてテンションの一変する俺を見下すのであった…。

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