1ヵ月後、また事件が起きた。
“ 19日の悪夢 ” の新たな被害者が現れた。
刑事から提供された被害者の写真を見た神父ジップレンダは、自分が何故、被害者達の顔を知っているのか──という謎の理由が明らかになった。
新たな被害者の写真に写っていたのは、幼い少女の顔だった。
写真の少女を見て、神父ジップレンダは思い出したのだ。
旅客機に搭乗する前、自分は少女と言葉を交わしていた事を────。
祖父母と一緒に、病気を患って入院している母親に会いに行く事を笑顔で教えてくれた子だった。
自分が生まれた時に両親からプレゼントされたウサギのヌイグルミを、とても大事そうに抱え、嬉しそうに話してくれた少女だ。
ウサギのヌイグルミの耳の糸が、ほどけているのを見付け、耳から綿が出ている事にも気付いた神父ジップレンダは、少女の宝物で1番の友達であるウサギのヌイグルミの耳を縫い直してあげた。
耳が直ったウサギのヌイグルミを少女に手渡すと、ウサギのヌイグルミを受け取った少女は、ウサギをギュッと抱きしめた。
余程嬉しかったのだろう、とびきり可愛い笑顔で御礼を言ってくれたのだ。
少女と別れてから旅客機に搭乗すると、あの少女が祖父母と一緒に乗っているのを見掛けたのだ。
「 神父様が、ウーシャンの耳を治してくれたの! 」と嬉しそうに祖父母に話しているのが聞こえた。
自分ぶん父ぷに気き付づいた少しょう女じょは、態わざ態わざ駆かけ寄きって来くてれて「 神しん父ぷ様さま! ウーシャンのお医い者しゃさん! 」と言いって、持もっていたバスケットをくれた事ことを覚おぼえている。
少しょう女じょがくれたバスケットの中なかには、可か愛わいくデコレーションされた美お味いしそうなクッキーが沢たく山さん入はいっていた。
“ 19日にちの悪あく夢む ” の被ひ害がい者しゃとなった少しょう女じょとの再さい会かいが、こんな形かたちで実じつ現げんする事ことになろうとは、神しん父ぷエクソシストジップレンダは予よ想そうすらしていなかった。