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悠久の賢者とアプリマジック  作者: 雨音響
1章:魔法科学
4/5

4:流転

仕事から帰ってきて間違ってデータを消しちゃったやーつです。

申し訳ない。明日の更新23時ごろ予定してます。

「嘘ですよね……」


どうにか口を紡ぎ言葉を吐き出す。


「記憶の混乱か……はたまた一時的な記憶喪失かなにかかのう?」

老人は言う。

「ここは確かに、魔法科学都市『オルトスクエア』なんじゃがのう……」


お前さんこの世界に居て知らないのか……、そう口に出す。


どこか疑惑的な目を向けられるが、知らない物は知らないとしか言いようがない。

……私がいた場所は確かに、魔法都市『オルトスクエア』であるはずなのだから。


逆に科学とは何なのか……

そこを考え始め……やがて一つの仮説にたどり着く。


その仮説とは……

≪時空魔術の失敗による暴発で、私は過去か未来か……どちらかに飛ばされたのではないか≫

と、いうもの。


これなら答えを得ることはたやすい。

目の前の老人に尋ねればいいのだ……年号を。


「おじいさん……もう一つ質問をしていいですか?」


そうすると老人はにこやかに、なんじゃ?とこちらを向く。

それから何か考え、忘れておったわいと、自己紹介を始めた。


「そういえば、わしの名前はシシウドじゃ……患者からはシド先生と呼ばれておる」

そう呼んでくれると嬉しいのう……と言葉を付けたし言う。


「……なるほど。では、シド先生質問をさせてください」

精一杯の笑顔で、シシウドさんに言い直す。


途端に表情を明るくする。

「なんじゃ?」


「今の年号は……暦を教えていただけませんか?」

と……。


シシウドさんは、答える。

「西暦:2367年 聖隷期12年じゃな……」


「……ありがとうございます」

その答えをもって、私は確信する。

≪私は、遥か未来に飛んでしまった≫という事を。


私がいた西暦は、2050年……だからおおよそ300年ほど時を駆けてしまったわけだ。

本当は10年ほど時を遡り、そして駆ける予定だったのが……。


何でこうなったのか……はとりあえずおいておき、この事実を告げるかどうかを考える。

……果たして、初対面の人が聞いてこれを信じるか。

私の事を知っている世界では、顔を縦に頷かせるかもしれない。

だが、ましてやここは未来の世界だ。

そして相手は初対面……信じようとする要素など一つもない。


だから、この事は胸にしまっておこう。

そう考えた直後だった。

シシウドさんが口を開いたのは。


「……お前さん何を考えとった。難しい顔をして」

……表情に出ていたらしい。

その表情を読み取ってシシウドさんは言葉をかけてきた。


「ワシに話して楽になるなら、話すと言い。なんでも、お前さんがカナデちゃんが言う事はできるだけ信じようじゃぁないか……ワシはシド……先生じゃからな?」

満面の笑みで。


それだけで、この人になら……という気持ちが芽生える。

「突拍子もない事なんですけど……信じてもらえるんですか?」


そういうと、頭の後ろを掻きながら

「内容次第じゃがなぁ……」

とばつが悪そうに言った。


でも、だからこそだろうか?

私の事をこの場所で看てくれた方からだろうか。

どちらにせよ信じてくれる可能性があるなら、言ってみるべきなんだろう……

そう心に決め、打ち明ける。


「……実は……たぶん私は……過去から飛んできたんだと思います……」

……その発言はおそらく、その場の時間を確実に奪ったであろう……。


シシウド先生も固まって動かない。

必死にどうゆう事か考えているのだろうか。


やっぱり失敗だった……

そう思っていると、シシウドさんはおもむろにベッドの横の装置の前に立ち……

何やら散らばっている書類やメモ書きを目に通し始める。


そして、数分が経った頃に

「なるほど……」と一言発し

それからこういった。


「そうゆう事だったのか……理解したよわかった。」

先ほどまでの口調からはおおよそ想像できない、凛々しい雰囲気を纏ったシシウドさんがそこにはいた。


「私は君が未来から来たのではないか……と考えていた、が実際は逆だったのか……」

とシシウドさんは言う。


「どうして……そう考えていたんですか?」


尋ねると「魔力総量だよ」と答えられる。

装置の画面を指さしてシシウドさんは言う。

「この装置は、君の全身状態をチェックしているものだ……心拍数、体温、その他諸々に加え……魔力の流れと総量もチェックしていてね。」


説明しながら一つのメモと本を取り出す。

「どうしても現代の人と魔力の総量が合わないんだ……」と告げた。


「科学が進歩したからなのか……今の人は成人男性でも平均総量は『16万GMp』といったところなんだが……君は一人でその数十倍の数値をたたき出している。」


この数値を見てもらいたい。

そう、装置の中の右上に書いてある数値を指さす。

そこには……『4800000Gmp』と記録されている。


「君は一人で、480万GMpという数値になっている。普通の大人でもあり得ない数値なんだ……だから私はどうゆう事か考えていたが……そうゆう事だったんだな」

何か、考え事の紐が1つほどけたよ。

そうシシウドさんは言った。



それからというもの、シシウドさんはやたら私を気にかけるようになった。

やれ、研究に協力してくれだ……昔の事を教えてくれだ。


あれから数日たち、体調も万全に復活した私はそろそろ行きたいんですが……

と告げているがかえってくる返事は決まって『まだダメ』の一点張りである。


どうしたものか……困り果てていると……

ある日

「カナデちゃんよ……一つ提案があるんだが聞いてくれんかのう?」

と、シシウドさんが提案をしてきた。


「このままだと、ぶっちゃけカナデちゃんを退院させられんのじゃ……主にお金の事での?」

……サーっと顔の血の気が引く。

そういえば、お金なんて私は持っていない。

今更、元気になってこの事に気づく。


……なんて私は、失礼なことを言っていたのだろう。

そう治療には当然お金がかかるのだ。

それは私の時代でも変わらない事だ。

なのに何故、考えつかなかったのか。


……私が病院にお世話になることが単に少なかったからなのだろうが。


そう、頭の中で考え事を巡らせているとシシウドさんはこちらを心配した様に覗き込む。

「大丈夫……かな?聞こえておるよな?」


「大丈夫です……ちょっと失礼なこと言っていたなぁと反省していたところです」

というと、それならよかったわい一言いい……


「続けるとじゃな。カナデちゃん、ワシの娘にならんかね?」

と、変化球を投げ込んできた。


その言葉に私は思わず……「へ?」と間抜けな答えをすることしかできなかった。





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