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悠久の賢者とアプリマジック  作者: 雨音響
1章:魔法科学
2/5

2:時渦

とりあえずできるだけ当面は毎日更新を目指します。

時間は23:00~翌0:00までの間です……。

もしかしたら今日みたいに不定期な時間に投稿することもあると思いますがよろしくお願いします。

……原因は何だったのだろう。

んーん、本当はわかってる。


出る杭は打たれる……。

周りの人から見たら私は、明らかに……異様に出来すぎて居たからだろう。

私の事を、快く思っていない人達なんて居ない筈がないんだから。


そう、私は泣きながら目を閉じる。

全てを諦め、そして只、魔力の波に身を任せた。


……どれくらいの時間が経っただろうか。

徐々に思考が鈍くなり……時間を忘れ、頭がボーッとしてくる。


(なんで、こんな事になったんだっけ……)

……それすら思い出せない。


そして、私はゆっくりと目を瞑る。

今、眠ってしまえば二度と目を覚まさないかもしれない……。

などという思考は、既に頭に浮かんでいなかった。


……

…………


……眼を開くと、そこには眩しい光が広がっていた。

先ほどの魔力の奔流とは違い、優しい明かりが。

ふと、空を見上げるとそこには、まるで先ほどまでの光景が、空間が嘘だったように。

当たり前のように青い空が広がっていた、何処までも。


「アハハ……これは、幻覚かなぁ」

ついに、視覚にありもしない情報が反映されてきた。

今の今まで、暴走した魔力の奔流の中をさまよっていた私は、即座にそう考えた。


けど、いつまでたっても変化しない景色に少しだけ希望を抱く。

次第に、魔力の奔流の中では感じなかった心地よい風が私の体を駆け抜けていった。


……その瞬間、私は目を見開く

今まで感じなかったその確かな感覚に。


でも……これも、幻覚なんじゃないか。

どれくらいの時間が経ったかわからないが、物凄い長い時間を魔力の中に身を置いてきたのは確か。

だからこそ、この感覚すらも私の脳が求め、錯覚させたものなんじゃないか。


そう思わずにいられなかった。

だから、私は少しだけ辺りを見回し、そして両腕でほっぺたを思いっきり引っ張った。

流れるのは、鈍く強い痛み。

思わず涙が浮かんでしまった。


だけども、それと同時に……得られたものがある。

この感覚が嘘じゃなく、本物だっていう事。


私は確かに、魔力の奔流から抜けたのだった。



とりあえずは、辺りを見回して現状を確認する。

さっき……まで? 自身が居た学院の中とは違い辺り一面に草原が広がっている。


「とりあえずは、町を探してみようかな」

周囲の状況もわからないのに、森や洞窟の中に入るなんて愚の骨頂。

ましてや、今は何の用意、装備もない。

だからこそ、いち早く身の安全を確保しなければならない。

そう考えていた。


……幸いにも辺りは平たんな道が続いており、見渡しやすい。

また、すこし先には明らかに人が手入れをしたような道が続いていた為、その道に沿って進んでいく事にした。


「この道はきっと、街道かなぁ? 町に繋がってなくても、最悪馬車に出会えればいいなぁ」

そんな言葉をポツリと溢しながら、私は道なりに足を進めるのだった。


それから、何十分歩いただろうか……

少し疲れた為、休憩しようと思っていた矢先に、まだ少し遠くだが、煙が上がっている様子が見えてきた。

その煙の周囲には、煙突らしきものがあり……それが火事等ではなく家が周りにあることをはっきりと伝えていた。


「やった……見えた、きっとあれは町だよね。そうだよね……!」

少しだけこの体に疲れを感じながらも、町を見つけたことに安堵、喜んだ私はその町に向って、駆け出していた。


「ハァ……ハァ……、思ったよりも、遠いよ……」

案の定、バテてしまった私は、道の傍にあった丁度いい高さの石の上に身を横にする。


思えば、長い間飲まず、食わずだったからだろうか。

喉もお腹も飢えているように感じる。

特に、水分欲求が激しく……今すぐにこの喉を潤したい……。

そう思ってしまった。


思ってしまったがゆえに、認知してしまったがゆえに……

その感覚は増強される。


「あぁぅ……喉乾いたよぅ……、お腹空いたよぅ」

何でもいいから、食べたい……

町に付いたらすぐに何か食べよう……


そう思い、その気力だけでなんとかまた歩き続ける。


それから、30分ぐらいをかけて町にたどり着き、やっとの思いで門をくぐり……


そして、限界を迎え……そのまま地面へと倒れ込んだ。

辺りが騒がしさに包まれ、数人の人が私に駆け寄ってきた。

上手く聞き取れないが、何やら必死に声をかける声が聴こえる……


この人たちは、この町の衛兵だろうか?

こんな時だというのに私は、全くどうでもいいことを考えていた。


(よかった……)

何とか町にたどり着いたんだ……

それから、駆け寄ってきた衛兵らしき人たちに向け、どうにか必死に声を出そうとするも出るのはか弱い呼吸音だけだった。


その様子を見て……衛兵? らしき人は慌てながらどこかに連絡をしている。


(そんな、大丈夫……。ただ少しお腹が空いて……喉が渇いているだけで)

その願いは果たして届いたのか……。

それは結局わからないまま、段々と私の意識は黒く塗りつぶされていった。


…………

……

誤字は確認していますが、ありましたら報告をお願いします。

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