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ラミアのお宿

 今日はこれからの旅に向けた準備にあてる予定だ。宿場町もない方向への旅は、食事や眠る事にも準備が必要だ。保存の効く食料に、寝袋か。フェネの経験を元に必要なモノを見繕っていってもらう。

 レイラは昨夜の事はケロッと忘れているのか、変わった様子はない。これだから酔っ払いは。

「そういえば、エイレスにも下着は必要だな」

 当のエイレスは首を傾げている。別に俺の楽しみの為じゃなく、普段の行動から体に合った下着というのは大事だ。旅となれば、その価値はより大きくなるだろう。エイレスは外見的に14歳ほどだが、それなりに成長しているので、しっかりと支えてやる必要はあるだろう。

「俺はフェネの荷物持ちになるから、他のメンバーで服などの必要なモノを揃えてくれ」


「マモルとデートは初めてですね」

 フェネと買い物に回っていると、そんな事を言われた。そうだっただろうか。街中で二人というのは、なかなか無いことだったかも知れないな。

 するりと腕を絡めてくる。EからFはあろうかという膨らみが、腕に押しつけられて心地よい。

「私の為にすいません」

「言っただろ、皆の目的にも合致してるんだ。気にすることはないよ」

 本人としては、自分を中心に全体が動くというのは気になるだろうけど。この先、皆がそれぞれに旅を楽しむのを感じれば、気にする事もなくなるだろう。

「あ、この店で旅装がありそうですね」

 寝袋から大きめのリュック、割れない木製の食器や調理器具など。必要な物は思ったよりも多い。五人で運ぶとしても、それなりの分量になるんだろうな。

 一つ一つを吟味しながら選んでいるフェネは、楽しそうで良かった。


「この下着、凄いです」

 合流したエイレスは、他の皆と同じ様な反応をしている。やはり女性としては、胸を固定できるのは恩恵が大きいのだろう。

「これで私も相手にしてもらえますか?」

「それは関係ないからな」

 頭を撫でながら答える。セラドの指導でその髪質も上がっていて、手触りが良くなっている。

 レイラも同じく髪型をセットするようになっている。ぱっと見の印象で、ブラシされた髪は魅力を引き出していた。

「な、何? 私も下着を教えてくれたのは、感謝してるわよ」

 この辺のズレがレイラらしさか。


 昼食を食べた後、宿を引き払って森を目指すことにする。エイレスは初めての森だが、エルフという事もあり、楽しそうに見える。

 あまり開拓されていない森が続く。街の近くの割に手つかずなのは、魔物が住んでいるというのも一つの理由だろう。

 ただこの森に住む魔物はそれほど凶暴という訳でもない。森の主として存在するラミアの影響も大きいだろう。


「一ヶ月近く来れないと伺っていたのに早いですわね?」

 出迎えてくれたラミアは、周囲に俺が近づくと分かるらしい。相変わらず妖艶な雰囲気で色っぽい。

 湖畔にある建物がまた増えている気がする。木の囲いで覆われた風呂場に、その更衣室。それ以外にももう一つ建物ができている。

「まずはお風呂になさいます?」

「そうだな」

「わかりました」

 フェネが頷いて、裏手に向かう。お湯を沸かすための設備があるはずだ。フェネが魔法で沸かせるようになっている。

「薪を使っても沸かせる様になってるんですけどね。フェネさんがやる方が早いですから」

 ラミアに先導される形で更衣室へ。ファイナ達もいなくなり、利用者はいなくなっているが、手入れは行われているようだ。

「リザードマンも入浴好きなんですよ」

 そういえば、日向ぼっこが好きなリザードマンも、温水に浸かるのを楽しんでいるんだった。意外と稼働率は高いのか。

 俺が持ち込んだルールで、手拭いを体に巻いての入浴は禁じている。ラミアはその下半身を人に変じて、俺に付き従っていた。セラドも最初こそ恥ずかしがったが、今は普通に服を脱いでいた。

 まだ二度目のレイラと、勝手の分かってないエイレスは戸惑っている。

「少しぬるいでしょうけど、入りましょうか」

 ラミアの先導で、俺とセラドが続く。レイラとエイレスは、そうなって初めて服に手をかけようとしていた。


 春から夏へと差し掛かりつつある気候で、昼間ということもあり多少ぬるくても入浴できそうだった。

 風呂桶で軽く体を流して浴槽へと浸かる。それなりの広さを掘り下げ、石などで組まれた浴槽は、なかなかの趣がある。囲いの一角は壁が立てられておらず、美しい湖が見えるようになっている。

 その正面にくるように位置取ると、ラミアとセラドが寄ってきた。金色の波打つ髪が、白く艶めかしい体に絡みついて色気を増しているラミア。深い緑の綺麗な髪をお湯に浸して解しているセラド。まさに極楽といった雰囲気だ。そこに手で乳房や股間を隠したレイラとエイレスが入ってくる。どうせ見えるのに、隠したくなるのだな。

 普段から性的にアピールしているエイレスは、裸を見られるのは本望だろう。じろじろとたっぷり観察してやる。

 エルフの抜けるように白い肌、華奢といえる細い体。それでいて、乳房はそれなりに膨らみがあってCカップはあるだろう。色は薄めの金髪はストレートで、出会った当初より艶を増している。俺から離れたところで、桶で体を流す仕草は一枚の絵のように綺麗だった。

 対するレイラは普段から襟の広い服を着ているため、首の周りや腕は日に焼けていて、元の白との対比がコントラストになっている。剣術で鍛えられた体は、筋肉もあるが女性らしい丸みも十分あり、胸筋に支えられた形の良い乳房はDカップは十分にあるだろう。こちらを意識して、頬を染めているのが愛らしい。昨日のやりとりもあって、妙に女の子として意識しちゃいそうだ。


「お湯を出してもらって大丈夫ですよ」

 裸身という意味でも抜群の完成度を誇るのはフェネだ。スレンダーな体には不釣り合いな程の形の良い乳房、少しの動きにも暴れ回っている。手足はすらりと長く、くびれた腰から滑らかな曲線を描くお尻。そこからはフサフサとしたしっぽが楽しさを表すように揺れている。全体のバランスが絶妙で、ずっと見ていたくなる。

 そんなフェネが、俺に向かって飛び込んできた。

「わぷっ、飛び込みはマナー違反だぞ」

「ごめんなさい」

 頭上の三角の耳が、へにゃっと倒れる。それもまた可愛い。そのフェネは、俺の正面から抱きつくように収まった。

「なんでそこ?」

「左右が埋まってましたので」

 悪びた様子もなく、体をこすりつけてくる。元気になっちゃうだろ。

 フェネのおかげで湯の温度もあがって、体の芯から温まれそうだった。


 くんずほぐれつ温まっていると、エイレスも背中を流して欲しいと近づいてきた。細い背中を俺に向け、髪を体の前へと移動させる。露わになる白い肌と、滑らかなうなじ。色気の何たるかを知っているようで末恐ろしい。

 しっかりとその肌を清めてあげた。レイラも仲間になりたそうにこちらを見ていたが、自重してしまう。

 それでも俺たちはたっぷりと入浴を楽しんだ。次に入れるのはいつになるだろうな。



「こちらへどうぞ」

 火照った体を拭いて、服を着た俺たちをラミアが新しく作っていた建物に案内してくれた。

 いくつかのベッドと、大きめのテーブル。かまどや水瓶も用意されていて、立派な宿泊施設になっていた。

「内装はこれからだったんてすが、思いの外早かったので」

 少し恥ずかしそうにするラミアだったが、今日から野宿を覚悟していた俺たちにとっては嬉しい誤算だった。

 そんなラミアに、俺はこれから旅に出て、次に戻れるのはいつになるか分からない事を告げた。これだけの準備をしてくれたのに、心苦しく思ってしまう。

 しかし、ラミアの方はケロリとしている。

「ファイナさんからも色々聞きましたから、分かってましたよ」

 その微笑みにかげりはなく、不思議な感じだった。そのラミアが、部屋の一角に移動した。不自然に一角に敷かれた絨毯をめくった。そこには何やら円が描かれていた。

 パーティーの知恵袋、セラドが興味深げに近づいていった。

「これは魔法陣とは違うが、魔力は感じるのぅ。妖精の輪?」

「はい、妖精の輪と呼ばれる転送ゲートです」

 ラミアの説明に皆が顔を見合わせる。さらにラミアが自らの髪から、光る何かを取り出した。

 それは掌に収まるくらいの人形……いや動いている。

「そして彼女は妖精のドリスです」

 セラドを小さくしたような体に、透明な羽根が四枚。濃いめの茶髪とくりくりと大きめの瞳。

「アタシはドリス、よろしくね!」

 元気に挨拶されるが、頭には疑問符が並ぶ。一連の説明とラミアの様子、妖精のドリス。どういうことだろう。

「ふふーん、アタシはね、妖精の輪を開くことができるのさ!」

 小さな胸を反らしながら、自慢げに話す。

「妖精の輪は、離れた距離を移動できる仕組みです。こちらの輪は固定されていますが、転送元となる場所はドリスが開くことができます」

「それはどこからでもここに戻って来れると言うことかの?」

 セラドはその使い方に思い至ったようだ。

「はい、そしてまた転送元に戻ることもできます。その効果時間は半日ほどですが、一晩休むには十分です」

「まあ輪を開くには、生きた木が必要だったり、アタシの体調とか、いくつか制限はあるけどね」

「つまり旅をしながらここで寝泊まりできるということか」

「ドリスは好奇心旺盛な妖精、彼女を旅に同行させてもらうと、そうなります」

 フェネの顔を見ると、複雑な表情をしていた。でも旅に不慣れな身としては、しっかりと休めるのはありがたい。何より、風呂付きというのも大きい。

「なので私は寂しくありませんし、血を頂くこともできます」

 ラミア自身のメリットも考えられた宿になっていた。

入浴シーンは、副将軍の旅でも必須でしたし、大事ですよね。

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