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旅の準備

今回はピンク回ですので、気楽にどうぞ

「おかえりまない、マモル!」

 宿の部屋の扉を開けると、フェネが抱きついてきた。その頭を撫でると、かなり毛艶が良くなっている。

「ただいま、フェネ」

 室内からは良い匂いが漂ってきている。どうやらホームパーティのように、再会を祝う準備をしていたようだ。セラドもこちらを向いて、手を止めた。

「……おかえりじゃ、マモル」

 その表情は喜びから一転、半眼で呆れるものに変わる。

「どうしたの、セラドさ……誰、貴女?」

 ようやく俺がレイラを伴った事に気づいたフェネが、威嚇するように問いかける。

「はいはい、ちゃんと説明するから部屋に入ろうな」


「というわけで、少しの間、一緒に行動する事になったレイラだ。よろしくな」

「レ、レイラです……」

「ふぅん、マモルじゃしな……」

「それでこそ、マモルなんですよね」

 女性陣のテンションは低い。丸テーブルに腰掛ける。俺の左隣はセラド、右隣にフェネ、正面にレイラだ。こうして眺めるだけでもにやけそうな可愛さである。一週間我慢したおかげで、魅力も増し増しである。

 それはさておき、修行の成果は確認すべきか。

「では、再会を祝して、乾杯!」

「「乾杯」」

 レイナは少し戸惑いながら、杯を上げる。あの勝ち気な姿はどこへ行った。

「しかし、マモルはちゃんと修行したのかの? こんな可愛い女の子口説いてて」

「そ、そんな、私なんて……」

「ホントだよ。私達は我慢して、ようやく今日を迎えたのに」

「や、レイラはそんな相手ではないよ? 本当に修行に行き詰まってたみたいだから、師匠に頼まれたというか」

「はい、ちょっと押し倒されただけで、抱かれたりはしてませんので」

「「マモルぅ?」」

 レイラはフォローの積もりなのか? 本来のいじめっ子体質のたまものか? 二人の視線が怖い。

「セ、セラドなら、俺がさぼってないか、確認できるだろっ」

「まあ、そうじゃの……ふむ、確かにスキルが増えておるな。ガラハド流剣術か」

 セラドは他人のステイシアを確認する《鑑定眼》の持ち主。俺がちゃんとスキルを取得したのを確認できたようだ。

「そんな事がわかるんだ」

「す、すごい……」

 そういえば、フェネも知らなかったのか。少しセラドは嬉しそうだ。

「私はハイド義兄さんから、獣戦士のスキルを習ったよ。まあ、義兄さんは弓がメインだから、そっち系だけど」

「前衛にはレイラが増えたから、バランスは良くなったかもな」

「ワシもちゃんと神術を教わってきたぞ。回復力の高い魔法や、解毒、病気治療も多少はできるようになったのじゃ」

「なるほど、みんな頼もしくなったな。実はガラハドという俺の師匠から、レベルアップに適したダンジョンを教えてもらったんだ。しばらくは、そこに行ってみようと思うんだがいいか?」

「私は問題ないよ」

「ワシもじゃ」

「じゃあ明日は一日準備に使って、明後日の出発で」


 レイラは隣に部屋を取ってあるので、そちらに帰って行った。いよいよお楽しみの時間である。

「ふふふ、ワシの新たな力を試す時じゃな」

 セラドが邪悪なオーラを発しているだと!?

 というのは冗談だが、何やら呪文を唱えはじめる。すると体が熱くなってきた。

「ちょ、ちょっと、何を?」

「少し精力をつけてやっただけじゃ」

 少しって、既に一週間溜めてヤバいんだけど。

「ていうか、セラドは神術の修行じゃなかったのかよ!」

「これも立派な神術じゃ」

 妙に積極的になっているセラドは、俺を可愛がりながら説明してくれる。

 神術は元々豊穣の女神の祝福で、その中には多産豊作の祈りが込められている。

 そのため、神術士にはその手の技術や魔法が培われているらしい。

「神様ってもっと禁欲的なモノかと思ってた」

「なんじゃそれは?」

「私も姉さんから聞いて来たことがあるよ」

 既に衣服を脱ぎ去り、豊満なバストを晒したフェネが迫ってくる。豊かな胸が俺に押しつけられた。

「ふふふ、こういうの、男の人、好きなんだって?」

「だ、駄目、気持ち良すぎてっ」

 積極的に技術を身につけていたのは、セラドだけでは無かったらしい。というかファイナが、この手の技術に詳しいとか意外だ。

「義兄さん、ああ見えてエッチなんだよ?」

 などと暴露してるし。

 二人の積極果敢な責めに、俺は何度も限界を突破させられた。その度に、セラドが回復魔法をかけてきて延長戦を繰り返す。

 夜半を過ぎるまで、かなりハードな夜を過ごすことになってしまった。



 翌日、レイラに会うと顔を真っ赤にして非難されることになった。

「も、もう少し、周りに気を使いなさいよ!」

 声がダダ漏れだった模様。さすがにフェネとセラドも赤面していた。


「今日は買い物だけど、レイラにも下着を買ってやってくれ。お前達も追加で買ってくれていいから。ダンジョンの近くの街まで三日ほど旅する事になるし、そのつもりで着替えとか用意して」

「なるほど、わかったのじゃ」

 セラドに金貨三枚ほど渡しておく。

「え、下着って、金貨? え、金持ちなの!?」

 レイラが色々と驚いているが、後はセラド達に任せれば良いだろう。

「俺は防具を買い足すので、ちょっと行ってくる」


 ガラハドに教わったアームガードは、少し特殊な防具になる。普通の小手でも使えるが、専門的なものの方が、より効果は高くなるみたいだ。

 ガラハド御用達の店に行って、紹介状を見せる。

「ガラハド様直々の案内ですか。アームガード用の手甲ですね」

 ガラハドは思った以上の人らしい。店主の目には、尊敬の色が見える。あまり重たくなるのは嫌だが、革だと心許ない。金属で軽くとなると難しそうだが。

「今ならミスリルを使用した一品がございます」

 淡い光を発する金属で作られた手甲は驚くほど軽い。

「鉄はもちろん、鋼鉄にも負けぬ防御力もあり、魔法に対しての耐性も備えます。ガラハド様の案内状もありますし、多少は割り引かせてもらいますが……」

 提示されたのは、金貨一枚。百万程の価値だが、この出来なら納得だ。その場で購入を決めて、調整をしてもらう。下手をすると革の防具よりも違和感がなく、フィットしていた。

「これはいい品だな」

「はい、長く使える品です。メンテナンスも承っておりますので、今後ともご贔屓に」

 即金て支払ったのが効いたみたいで、店主の対応がかなり良かった。


 昼食で三人と合流し、レイナが下着に感動していた。騎士の令嬢でも知らなかったようだ。

 レイナは俺の手甲にも気づいて、目を見張っていた。ミスリルの価値が分かっているようだ。

「ね、ねえ、マモルは何者なの?」

「単に幸運な冒険者だな」

「幸運って……」

「こんな美少女に囲まれて過ごせる。こんなに幸せな事はない」

「あんたねぇ……」

 レイラは諦めの境地に入りはじめていた。実際のところ、魔剣に見初められ、セラドと出会い、フェネに執着し今に至る。俺自身に特別な事はなく、幸運が続いているだけだと感じている。

 後は俺がそれを守れるように努力するのが大事だろう。

「これからの予定は?」

「一通り必要な物は買ったから、俺には予定はないんだが」

「だったら、ラミアのところに行ってみない?」

 フェネからの提案が意外だったが、何か企んでいるようだ。



 森に行ってみると、湖畔にちょっとした囲いができていた。簡単な板で仕切られた空間は、宿の四部屋分くらいの広さだ。

「なんだあの囲い」

「行ってみてのお楽しみ」

 フェネが見せたかったのは、これなのだろう。よく見ると色々と変わった囲いになっている。

「マモル達はあっちにいってね」

 そう言ってフェネは離れていった。囲いに近づくと、扉がついているのが見えた。

「ここから入れということか」

「そうみたいじゃな」

 開けて中に入ってみると、金髪の美女が立っていた。その身には何も纏っていない。

「よくぞ参られた、マモル様」

「ラミア……か」

 しかしその下半身は蛇ではなく、美しい二本の足に変わっている。

「はい、マモル様に会いやすいよう、人化の法を練習しております」

 艶やかな笑みで答えてくる。その健気な努力には、頭が下がる思いだ。

「で、ここは……」

 いくつかの籠や棚が並んでいて、奥にはもう一つ扉がある。

「服を脱ぐ場所でございます。そして、あの扉の向こうは」

 あえて言葉にしない感じだが、ここまでくれば予想が付く。

「なるほど、考えたな」

 一人離れたフェネが何をしてるかも想像はつく。

 俺は衣類を脱いで籠に入れると、扉を開いた。


 一面には湯気が立ちこめ、即席ではなく作られた入り江のような湯船。まさに露天風呂という池ができていた。

「これは見事だな」

「はい、リザードマンの手を借りて、作りました」

 リザードマン達が協力したのか。日向ぼっこ好きのリザードマンは、お風呂も好きだったりするのだろうか。

「あら、マモルさん。いらっしゃい」

「ファイナさん、いらしたんですか」

「ええ、フェネに勧められて来てから、病みつきで」

 ホホホと笑う人妻の色気にやられそうになる。そんな俺をラミアが抱えて、風呂に浸けた。あまり熱すぎず、人肌よりと変わらぬ温度は入りやすかった。

「今日は一緒にはいれますわ」

 ラミアがそう言いながら、俺に抱きついてくる。

「おお、これは凄いのじゃ」

「こ、これ、お風呂ですか!?」

 セラドやレイラも入ってきた。以前の注意を守って、手拭いなどは巻いてない。まあ、あの時と違ってセラドも全裸は気にしてないか。レイラの方は、胸などを抑えているが、隠しきれるものでもない。引き締まった体に、ボリューム感のある胸。特に脚線美が素晴らしいと俺は思っていた。

「って、ラミア。くすぐったいよ」

「お風呂なんですから、洗わないといけませんわ」

 その手つきは洗うと言うより、撫で回してる感じでいやらしい。

「姉さん、来てたの。向こういったら、もうお湯が入っててびっくりだよ」

 フェネが思ったより早くやってきた。どうやら別の場所にお湯を沸かす部屋があるらしい。そこからお湯を引いてくるシステムなのだろう。熱めのお湯を足せば、温度を長く保てるので、便利な仕組みになってそうだ。

 フェネは尻込みしているレイラを連れて、姉の側へと入っていった。そういえば、あの日もフェネはセラドと裸の付き合いで、仲良くなっていたなと思い出す。

「これは以前より広くて開放的じゃな」

 セラドが寄ってきた。湖に向かう一角は囲いがなく、綺麗な湖面が眺められるようになっている。リザードマンのセンスか、ラミアの趣味か。どちらにせよ、素晴らしい風呂に仕上がっていた。

「どうですか、気に入って頂けました?」

「ああ、最高だ。今度、こういうのを作ろうかと考えてたところだったから、びっくりだよ」

「なら、ご褒美をくださいまし」

 ラミアが身を寄せてくる。風呂で火照った体は、その柔らかさを増して感じられる。

 血行が良くなっているためか、いつもよりも血の集まりがよくて興奮してしまう。程なくラミアに果ててしまうが、ラミアも満足げな様子で良かった。

 などと思っているとすかさずセラドが寄ってきていた。お兄さんとしては、羞恥心が強くて慎み深かったのが懐かしいわけだが……今でもとても可愛くて拒絶なんてできませんけどね。


 たっぷりと入浴を楽しんで、ラミアやファイナを交えて夕食となった。ファイナの娘もすくすく育っているようだ。

「ラミア、俺達しばらく街を離れる事になる」

「そうなのですか?」

「半月以上になる可能性もあるからな」

 そういって指を差し出すと、嬉しそうに加えた。チクリと痛みがあったかと思うと、ちゅうちゅうと吸い始める。

「あらあら、マーサみたいね」

 そう言いながらファイナさんは我が子を見やっている。目を白黒させるのはレイラだが、セラドが説明してくれるようだ。

「このようにマサルの愛人は多いゆえ、あまり深入りせんようにな」

 何か違う気がする。

「わ、わかってます。あくまで見識を広げるためですからっ」


 ラミアやファイナに挨拶できたので、いよいよダンジョンのある街へと旅立つ事となった。

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