はじめてのお風呂
フェネがやってきた翌日。よく考えたら、これからの事を何も考えて無かったことに気づく。
「フェネはこれからどうするんだ?」
その言葉にフェネは凄く悲しそうな顔になった。
「この男は酷いぞ。平気で傷つけてくる。離れるなら早いうちがよい」
セラドの方が酷いじゃないか?
「マモルは私を欲しいといいましたよね? あれは一夜の慰みとしてですか?」
少し凄みのある台詞に、身の縮む思いをする。
「いや、当然、ずっと一緒にいたいよ。でも、フェネを束縛したくはないというか、無理をさせたくないというか……」
「セラドさん」
「だから分かっておらぬのだよ、こやつは女心とか……いっそ、教育するのがいいのやも知れん」
恐ろしい会話が繰り広げられている気がするぞ。
「分かりました。私が納得するまで離さないことにします」
フェネは力強く宣言した。
ひとまず報告がてらバイスの小屋を訪れると、大変な騒ぎになっていた。小屋の前でバイスは右往左往していて、小屋からは絶叫が響いている。
「ど、どうしたんですか!?」
「お産が始まったらしいんだが、男は邪魔だと追い出されてね……」
狐人の連絡網で助産婦も呼び寄せる事ができるらしい。携帯電話を駆使する現代人みたいだな狐人。お湯を沸かすように言われて、外で桶に湯を溜めているところらしい。
鉄製の鍋に水を入れ、魔法で温めている。狐人は火の魔法に長けているらしい。微妙な温度の調節などもできるようで、下手に薪を使うより早く沸かせるらしい。
となるとお湯を沸かすのは結構できるんだろうか。あとは水をなんとかすれば、お風呂も可能そうである。
などと考えるうちに小屋の方が静かになった。バイスは顔をあげて扉の方へふらふらと。扉が開いて、助産婦らしい女性が出てきた。
「はいはい、お湯と清潔な布をね!」
バタバタが一段落して、ファイナさんと赤ん坊に会うこともできた。初めての姪っ子に、フェネは少し戸惑い気味にも笑いかけている。
「マモルさん、フェネの事。ありがとうございました」
まだ起きあがることはできないファイナに近づくと、まずはお礼を言われた。
「俺はやりたいことをしただけですから」
「ふふ、その分、責任もとってあげてね。やっぱりまだ不安定だと思うから」
「はい、頑張ります」
「あまんり頑張りすぎて壊さないであげてね?」
意味深な笑みを返された。深く追求する前に、バイスがやってきたのでお暇することになったけど。
セラドも生まれたばかりの子供に興奮気味だった。小さい赤ん坊が動くだけで不思議な感じを受ける。思った以上に大きな声も出るし、元気を持って生まれてくるのだ。小さいけど耳や尻尾もあって、ちゃんと狐人してたのも可愛らしかった。
俺はバイス夫妻の小屋を出ると、湖の方へ向かった。ラミアの事が気になったのもあったが、それ以上に水である。
あの湖の水はかなり綺麗で量もある。あれをお湯にできたら、風呂も夢じゃない。
「あら、マモル様。いらっしゃい」
ラミアは俺が近づく気配を察して、すぐに姿を現した。
「なっ、魔物!?」
初めて会うフェネは警戒して構える。
「大丈夫だよ、フェネ。ラミアは優しいから」
「あら、変な女狐がマモル様に付いてるわね?」
全然優しそうじゃない眼差しが向けられていた。
「ちょっとラミア。フェネは大事な仲間なんだ、そんな脅すような事はやめてよ」
「でもこの女狐、マモル様の匂いがついてるし……」
「え?」
「私はマモルのモノだから、当然よ」
どこか勝ち誇ったように名乗るフェネ。ラミアはかなり悔しそう?
「マモル様、私にも子種を下さいな」
「え、そういう話なの?」
「マモル、ソナタは名を残す前に死そうじゃな」
どこか達観した眼差しのセラドに告げられた。
俺は逃げるように湖畔から少し離れた所に、穴を掘り始める。テレビかなにかで、河原に石を積んで水を溜める風呂というのを見た記憶があった。
周りに丸石は落ちていたので、穴の周りをそれらを積んで囲い、水を溜める準備を整えた。
後は湖から水を運んでくるだけだ。桶のような物はないか、ラミアに尋ねてみる。
「え、水を汲むものですか? リザードマンなら持ってるかも知れませんが……そこに水を入れるんですよね?」
「ああ、湖の水を入れていこうかと……」
ラミアは何やら魔法を唱えると、湖面の水が球になって浮かび上がった。それがそのまま作った風呂場へと届けられる。
ばしゃっという音と共に弾けて、すぐに風呂が水で満たされた。
「凄いなラミア。魔法も使えたのか」
「水魔法は得意なんです。変化も上手ければ、人にも姿を変えられるんですが、そちらはまだ上手くいかなくて……」
魔法の系統によって苦労はあるようだ。だが今は苦労して水を運ぶ手間が省かれて助かった。
「じゃあ、次はフェネだな。水をお湯にできるよな?」
「はい、任せて下さい」
「周りの石を熱するようにすると、温度調節しやすいはずだ」
フェネの魔法によって、火の玉が浮かび上がる。それが湯船の石を熱し始め、やがて水から湯気がではじめた。
「いきなり熱くしても入りづらいから、ぬるめで様子みようか」
「はい、じゃあこんなもんで……」
フェネの火球が消えて、あたりは湯気で満たされる。熱したのと逆側に手を入れると少しぬるいくらいのお湯になっていた。
「うん、いい感じじゃないか? 思った以上に簡単に風呂を作れるじゃないか」
「「私のおかげですよね?」」
ラミアとフェネが張り合っている。
「二人ともありがたいよ、得難い力だ」
「どうせワシは無力じゃよ……」
セラドが一人、いじけ始める。女の子の相手って大変だなと実感する。ハーレムなんて、夢だと思ってたけど、維持するのは大変なのか。そういえば、大奥とかドラマになるくらいギクシャクしてたみたいだものなぁ。
少し現実逃避したくなっていた。
などとやってる間に、お湯の温度も均等に混ざり、いい塩梅に仕上がっていた。ならば後は浸かるだけだ。
俺はその場で衣服を脱ぐと、風呂へと入ってみる。ぬるめにしたのは正解だろう、とぷんと浸かると懐かしくも思える浮遊感を味わえた。毛穴が開いて汚れが逃げていくような開放感。やはり、風呂はいいものだ。
「ふはー、生き返る」
「あ、あの、私もいいですか?」
フェネが遠慮がちに聞いてきた。というか、女子と一緒に入るために頑張ったのだ。ここで遠慮されても困る。
「ああ、是非堪能してくれ、フェネのおかげで実現したのだからな」
「ありがとうございます」
そう言うとワンピースを脱ぎ捨てる。麻の下着はやはり色気に欠けるもののそれを押し上げる肉丘は立派だ。動きに合わせて激しく揺れている。あまり恥ずかしさは見せないのは残念だが、堪能するに十分な体である。
「わ、ワシも……よいかの?」
少しこわばった感じでセラドも聞いてきた。
「もちろん、そのために広めに作ってあるだろ」
「す、すまぬ、何の役にも立てておらぬのに……」
どうもセラドは自分の立ち位置に疑問があるようだ。俺としては、いてくれるだけで嬉しいのだがそれでは本人は満足できないのだろう。セラドの知識は、俺にとって貴重なんだけど。
セラドは少し離れた茂みに隠れると服を脱ぎ始めた。やはり羞恥心は強いようだが、それが良い。
などと目移りいている間に、すっかり全裸になったフェネが恐る恐る足を水に浸けるところだった。足首までを湯に浸けて、少しかき回すように確かめ、徐々に体を入れていく。
とぷんと全身浸かってしまうと、その包まれる感触を楽しんでいるようだ。それにしても、おっぱいは水に浮くんだなぁと波間に揺れる様に見入ってしまう。
「わ、私は、私もいい?」
ラミアまでが聞いてきた。というか、普段から湖に暮らすラミアは別に入らなくてもいいだろう。
「すまないが、ラミアサイズには作ってないからな……」
「うう、人化の練習を急がないと」
上半身は綺麗な美女だが、下半身は5mを越える大蛇だ。さすがにその体で入るには、この風呂は狭すぎるだろう。今日の所は我慢してもらうしかない。
ラミアとの会話の隙に、セラドが入浴しようとしていた。その体には手拭いが巻かれているが、それは不粋というものだろう。
「セラド、俺の国では手拭いを湯に浸けるのは、マナー違反なんだけど?」
「ふぇ? そ、そうなのか……」
ビクッと体を止めたセラドは、体を隠すように手拭いを外していく。その恥ずかしげな姿がたまらない。むこうを向いたまま、後ろ足で湯へと入ってくる。それはそれで、可愛いお尻が堪能できて良い。
「ふ、ふあぁー」
全身を湯に沈めるという感覚に、思わず声が出ている。その反応は上々のようだ。
開放的になっているフェネを抱き寄せて、その体を洗ってやる。
「あん、いきなり、何?」
「風呂は体を洗う場所なんだよ」
後ろから抱きすくめつつ、やっぱりまずはその肉丘に手が吸い込まれる。なんだこの柔らかさは。たっぷりとした重量感が、波間にたぷたぷする様は、風呂でしか味わえない感覚だろう。
「前は自分で洗えますよ」
「そこは趣味だ」
「うう、ホント、こういう時は、大胆だよね、マモル」
そういいながらも逃げる素振りはない。ただクルリと向きを変えて、正面から目を合わせられる。そういうのに慣れてない俺はつと目が逃げる。
「ふふ、私も洗っちゃいますからね」
フェネの手が俺の胸元へと伸びる。さわさわと触られるのはくすぐったい。
徐々にその動きも大胆になってくる。抱き合うように互いの背中を荒い合うと、密着した胸元が凄い事になっている。
「風呂はいいな」
「マモル、ホント、正直だね……でも賛成」
フェネとの時間を堪能した。
色々とのぼせそうになったので、俺はあがって体を拭いていく。初めての入浴を楽しんでいるフェネは、セラドにも絡んでけしからん事になってる。
「ねぇ……」
こっそりとラミアがやってきていた。
「満足してないんじゃないの?」
さすがに風呂のままフェネとはじめる訳にはいかなかったので、結構大変な事にはなっていた。それを嗅ぎつけてやってきたのだろう。
風呂場ではフェネがセラドとが嬌声が聞こえてくる。ならば大丈夫かなとラミアの誘いに乗ってしまった。
欲望に忠実に……なんかピンクな小説になりつつあるけど、どこまでOKなのか。
直接表現がなければ大丈夫だよね




