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「どっち行くんだよッ」

 ……また叱られた。首をすくめるワープだ。

「港橋なんか渡ったら、“海判定”くらっちまうだろ?」

 敵わぬまでも、懸命に弁明するワープ。

「いやでも、ぼくはこっちだと思うんだ……」

「バカすぎる! そこにホテルの案内看板あるじゃん!? こっちだよ! 国道橋の方から行けばいいんだよ!」

「ナビがないと……目標が目に見えてないとだめなんだ……」口ごもり、すがるようにパムホに目を落とす。だが勿論、“プレイ中”だから“現在位置の表示はない”。ただの勘だった。「こっちだよ間違いない……」あさっての方向の、港町の小路に足を進めかける。

「うわあっ!?」ドールは演技でもなんでもない、「コイツ正真正銘の方向オンチか?! それも神・悪魔レベルの?」

 マジで頭を抱えたのだった――


 埠頭から歩きだしてまさに数分のことである。その間、次から次へとやらかす迷いっぷり。

 一言、ヒドイ。

 手の付けようがない。

 見る者が思わず後ずさるほどの、厄災級の土地勘のなさ――

 ワープ、申し訳なさそうに、

「無理してぼくに付き合ってくれなくてもいいんだよ……」

「それが狙いか!? 信じらんないッ??? このボクを拒絶するなんて――!!」

 今度はワープが頭を抱えたのだった。

「しっかりしてよ……」「お前のコトだァァァッ!!!」

 ドールは続ける。「――よく、よくそれで、これまで“ゲーム”してこれたな?! 日常生活おくれたよな?!」

「ほんとにねぇ、あはは……」

 ドールは片手で顔を覆う。そして片目をギラッ、とさせる。

「……今回かぎりだぞ。マジで今回かぎりだ。ゲーム終了まで組ませてくれと申し込んだのは、なんとボクの方だ。だから最後まで付き合う。が、エンドを迎えたら、それっきりバイバイだ。バイバイ! エンガチョ! オンチがうつる!」

「そんなきみに、“長押し”の一手……」

 怒りか、あるいは羞恥か知らない。ドールは耳を紅潮させた。その手があることは当然知っている。知ってて放置とは、これいかなることなのか――?

 心の、一瞬のせめぎ合いののちに、彼は意思を固めたのだった。

「――ついて来い! ホテルはこっちだ」

 ワープは笑顔になる。

「ホテルの建物が見えるとこまででいいよ。そこからだったら案内できる……」

「当たり前だドアホゥッ!!!」

 強引に手をつなぐ。引っ張る。乱暴に、足早に――

「フン……!」頬を赤らめる。

「えへへ……」頬を赤らめる。

 実際はどうだか知れない。だが傍目から見れば――

 けっこう仲よさげに。二人は、港町を歩いて行くのだった。


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