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「さぁ、これからどうします?」ドールが続けて、

「実は、ワープの奴、リューと一緒に“温泉”に入りたがってんですよね。具合良くみんな水着だから、“隠岐ラク温泉GOKA”、今から貸し切りの予約しときますね?」

 ちゃっちゃと実行してしまう。ニマッと、

「今回は赤字だよ」

「半分だすよもちろん……て、ひょっとしてきみ、そのセリフきみのキメ台詞だったりする?」

「アハン!」

「あはははっ!!! おもしれー! どうりで――」

「アハハハッ!!!」

「あはは!」


 ――!


 そしてその二人の姿を、ゆるゆると見守るリューシィ――


 口ずさむ。


 遊びをせんとや(うま)れけむ、(たはぶ)れせんとや(むま)れけん、遊ぶ子供の(こゑ)きけば、我が身さえこそ(ゆる)がるれ。


「――梁塵秘抄(りょうじんひしょう)


 ありがとう、わたしのリトル・ホワイトナイト――!!!


「――ねぇ」

 リューシィは提案する。

「だったら、海水浴しましょうよ。温泉はそのあとでいい。

 君たち、お昼はまだなんでしょう?

 食べ物と飲み物持って、あのジャングル世界へ行きましょうよ!

 透明な、青い、遠浅の海。真っ白な広い、広い砂浜――

 もちろん、わたしたち以外は人影なし。

 太陽ぎんぎんな、真昼の渚を希望するわ――」


「そうね――イメチェン!

 全身をムラなく、こんがりと焼いてみたい!」


 真っ赤な顔のリューシィ、そして――


 全く以て彼女の全ての望みを叶えることこそが正義と、頼もしく請け負う真っ赤な両人だったのであった!


 どこから出したのか、浮き輪を抱きかかえてる気の早いワープだ!(笑)


 そんなワープにドールがコッソリと囁く。

「ボクの反省を聞いてくれるかい?」

「もちろんですとも。どうぞ……」

「実はボクは今回、スペシャル点で高額ポイントが付かなかった万一の場合を考えてさ……。リューの、“島の呪い”の悩みだけでもって思って、決定的な解決法を、用意してたんだよ」

「おぉ……さらに、どうぞ……」

「それは、ボクら二人が、子供らしく“遊ぶ”ことだったのさ。

 遊ぶ子供の姿ほど、未来の繁栄を象徴しているものはない。

 その前には、“呪い”なんか屁でもないんだ。これマジで。

 ボクらはボクらで楽しく生き抜いてやる! どこまでも、いつまでも。

 そう――

 ボクらが思いっきり遊ぶ姿を見せてあげることで、島は大丈夫。後顧の憂いをなくし、元気いっぱいに旅だってもらえると、画策したんだ」

「すばらしいアイデアだと、ぼくは思うよ……」

 首を振る。

「でも、現実は厳しかった。とても、リューシィを慰めきれなかった。失敗したかと覚悟した。いや、実際に失敗したんだ。ところが――」

「ところが……?」

「そう、ところが! 今のリューを見てみろよ(笑)」

「……」

「見てわかるだろう? 今、彼女は、いつの間にか悩みを自己解決している。解決してるんだ。見てよ、あの晴れ晴れとした顔を! まるで光り輝いて見えるくらいだよ!」

「……」

「理由は理解している――」

 声なく笑う。

「――借金問題が解決したから、それに力を得て、島の呪いの方にも希望を見出す余裕ができたんだ。

 悔しいけど、“現金(ポイント)”の前には、ボクらはまだ、力及ばす、てことなんだな。ハハッ」

 小声ながらもワープ、はっきりと主張したのだった。

「きみのその基本方針があったからこそ、最後の最後で、ポイントが有効に効いたんだよ。これは確かだ。だからきみは誇っていい。ぼくはきみを評価する。きみを友と呼べて、ぼくは幸せ者だよ……!!!」

 一世一代の、勇壮なる言葉を吐いたのだった!

 感極まってドールが応える――

「キミは、男前だなぁ……!」

「それぼくのキメ台詞だよ」

「無限の……いや一人だけだけど、ボクの、無限大の絶賛を浴びせさせてもらう……!」

「大歓迎ですよ、アハハハハ!」

「ハハッ!」


 ――!


 リューシィが声を張り上げる。

「さぁ、出発だ!」


「おおう!」


「イェイ! ヤーハーッ!!!」


                 ※ ※ ※


 こうして――


 三人の姿が、現世から、消え――


 一つの物語は幕を閉じる。


 その後のことは、文字通り。


 別世界の話、なのである。


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