53
ワープ、ドールが二人で内輪話してるあいだ、リューシィはリューシィで、二枚の画像をしっかりと検分してたのだった。
やがて、彼女は心底からの声音で吐いたのである。
「ああ……、耳の形、もう少しでいいから、丸くあってほしかったなぁ……」
その言葉に耳ざとく食いついたワープは流石と言えよう!
「リュー、写真撮らせてください」
きゅんっ。
できあがって配布された画像を見ると、耳の形が丸くなっている――!?!
思わず自分の耳に手をやる彼女だ。
「もうご存じ、さっき説明したとおりの、これがMTの魔法です。耳の形、もっとシャープであってほしかった……と願っていた別の貴女自身との納得ずくのトレードです。ですから、双方とも気遣うことはないですし、ご安心ください。いつでもキャンセル受け付けます……」
そして、ワープは大いなる期待と過大な気迫をこめて付け加えたのである!
「今、大サービス期間中ですよ……」
それに乗って、なけなしの勇気を振り絞ったリューシィなのであった!
「もっとバストサイズがほしい……エヘ、えへへ……」
もう真っ赤なリューシィだ。
きゅんっ。
顔真っ赤なワープ、素知らぬ顔して横向きの画像を撮る。配布したあと、ちゃっかり保存するところが彼らしい。そして忘れません、口上だ。
「肩こりから解放されたい、かつ、もっとナチュラルなサイズを願ってた貴女との――」
「ああん、水着が苦しいよぅ……!」
きゅんっ。
サイズに見合った、それもビキニに大胆チェンジしたリューシィだった!
ちなみに、いつの間にか(邪魔な)半袖ジャケットは消えていて――
さらには、水着の色が肌色。そして肌色とは、リューシィの肌色というわけで――
さらに――
「後ろは見ちゃダメよ……」腰に両手をやるリューシィ。
鼻血ひとすじワープ、素知らぬ顔して画像を撮りまくり、撮りまくり、しっかりと保存する。そして口上なのだ。
どす――
加減なしにドールに脇腹を突かれたワープだった。
「今のは完全にキミの趣味だろ? 助平」
悶絶するワープを尻目にドール、
「もういいかな?」
有無を言わさぬ口調で――
15:45。こうして三人はようやく、15:01の時点にTTしたのだった。
ピュンッ。
そして、その時点の現世へ、ワープ――
きゅんっ。
脇腹をさすりつつも、名誉にかけても、正しく力を行使したのだった。




