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道路わきに、『工事中通行止め』の看板が立っている。
「……旅神さまも、意地が悪い」
後ろからの、(何かのアニメの声をマネた?)ドールの声。ついで普通の声で、
「どうする? トレードする?」
と気楽に聞いてくる。
ワープはすぐに答えた。「いいや……」
ここまで来て、さすがに思うところがあったのだ。
「きみのTT以降、せっかくここまで真っ当に来たんだ。今のままで、なんとかしたい……」
「だよなー」
二人揃ってパムホを拡張させる。
「県道44号を経由するしかないね……」
「そう。こっから約100メートル南下したら県道に至る。県道を西進約200mで、田んぼ道に右折。そのまま北進すれば、約250m、突き当りでルートに再合流だ。楽勝だな」
ドール、続けて、
「ただ、田んぼに右折をしそこなうと、進んだ先でギリギリアウトだ。これだけ注意!」
「うんうん……」
「じゃあ、ゴーだ!」そしてついにその瞬間が訪れる――
ドールが自然に、こう声に出していたのだった。
「行こうぜワープ!」
これもまた、自然な反射だった――
「まかせてドール!」
その瞬間――!
二人同時に、気づいて――パッと顔を赤らめて――!
慌てて、わざとらしく元気な声だして、パンパンと軽く叩きあって――
そろって笑い声あげて――!
充実感だった。
幸福感だった。
そして、二人――
「イェイ!」「ヤーハーッ!」
かけ声あげて、スクーターを走らせたのだった。




