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とは言うものの、走り出して、すぐに止めた。
道路脇の木陰の駐車帯にてスイッチをオフ。センタースタンドを立て、ドールが改めて跨がり、ワープは横座りになった。それぞれパムホを手にし、A4サイズにまで拡張する。
これは予定の行動で、つまり今からマップのチェックなのだ。レンタル会社では落ち着かないから、ここでやる。
「レンタル会社がここで、つまり現在位置はココだ。いいよな?」
「うん……」
仕切るのは当然、ドールだった。
「スタート地点が右下の西郷港。昨日しているから、今日はこのまま先へ走るだけだ。そのゴール地点が左上、代港だ。その成す赤線がライン、15.7kmで、マージンが785m。というわけでこの緑枠が今回のゾーンだ。青線がグッドマップのルート検索機能で描かせた、走行予定ルートとなる。
最高高度は西郷地区と五箇地区の境、峠のところで100mちょいだ。これで、基本点で15+1の16ptは見込めることになる。
攻略スポットとしては、ゾーンの前半に“隠岐国分寺”と“隠岐牛突きドーム”が、うまい具合にまとまってある。当面はここを目指すことになるな。
国分寺と牛突きドーム、どっちがポイント高いと思う?」
ふいに訊いてきたがこれはプレイヤーなら即答だ。
「牛突きドーム。開催の時間制約があるから……」
ニヤリ、と満足げにドール。
「まぁ、どっちにしろせいぜい1点か2点のローポイントだろうがね。それでも攻略しとかないとペナルティ喰らっちまうから仕方ない」
続ける。
「あと目ぼしいスポットは、ゾーン後半の“隠岐ラク温泉GOKA”だな。
その近所に“隠岐郷土館”、“五箇創生館”、“水若酢神社”があるんだけど、アハッ、幸か不幸かゾーン範囲外だ。ほっといていい。
で、どうする? 温泉入るかい?」さりげない口調だが、目が笑っている。
「パスしとこう……」
「なんでさぁ? ボクと入るのが不満なのかい」面白がっている。
ここまでからかわれたのなら、ちょっと勿体ぶってみてもいいだろう。
「えへんっ。ゲーム時間含めた、今日一日で、トータルで考えてみよう……」
「なるほろ。入るならリューシィと入りたいわけだ。助平」
いきなり図星だった。まっ赤になって、
「ジェラシー……?」と即興で逆襲したら脇腹をド突かれた。意外、ドールも顔を赤らめているから引き分けだ。