15
脱衣室で浴衣に着替え、廊下に出る。少し待ってると、紺色の暖簾を分けて、白タオルを頭に巻き付けたドールが現れた。
二人して歩きかけて、思い出して振り返ると、暖簾にはちゃんと『男湯』の文字がある。しかも、今、奥からは、何やら多数の人の気配さえしていた。
入っていって確かめたかったが、万一の、リューシィとの鉢合わせを考えて断念した。
廊下を歩きかけ、またしても、あっと気づいて窓に寄り、外を見ると、すっかり夜空である。
もう――頭を抱えるワープだった。
「さ、部屋に戻ろうよワープクン」
含み笑いのドールだ。
きっ、と顔を向ける。
結局コイツは、最後までバスタオルを外さなかったし、ぼくを先に上がらせもした。
ならば、言うことは一つ。
「チンコ見せろ……!」だった。
はじけるように笑い出すドール。ヒクヒクとなりながら、
「襲いかかってきたら、即、レイプとして訴えるからね、アハハッ」
笑いながらも、ちゃんと釘をさす。
言えるのは今だろう。ワープは口を開いた。
「きみ、その浴衣の下は、ハダカだろ? 思い返せば昼間もそうじゃなかったか? 下着をつける習慣がないのか、それとも――?」
「そういうキミこそどうなのさ?」否定もせず、逆に問い返してくる。
「下着は着てるものの、それは“今までと同じもの”だ。替えの衣類は持ってきてないんだろ? そもそも荷物ったら、あの若草色の“軽い”旅行鞄ひとつきりじゃないか」
「そういうきみなんて、まったくの“手ブラ”じゃないか……」
ドールが今手にしている、開襟シャツとデニムパンツに目をやる。
「いつの間にか、“新品のようにきれいになってる”し……」
「“そっち”もね、フフン」
「……」
今コイツと喧嘩するわけいかない。ゆるゆると、ため息をつくワープだ。
「なにしろ、魅惑のリューシィとの、ラインがかかってるからねェ、あはっ?!」
人の心を読むドールだった。




