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ツイン部屋にはバスがなく、汗を流したかったら建物3階の大浴場を利用するしかない。
ちなみに、沸かし湯である。隠岐島・島後には、島北西部の五箇地区一ヶ所にしか、天然温泉はないのだ。
「……」
さてここで、なんとも微妙な問題に悩むことになったワープだ。その元凶たるドールは平然としたもので、逆にワープをせかしているのだが。
「平気かい……?」困惑顔のワープである。
「なにが?」綺麗な目を瞬く。
「……」
また沈黙してしまうワープなのだ……。
あらためて思う。
ドール。
綺麗な子なのである。
同性とはいえ、脱ぐとなったら自分ですら意識せざるを得ない。ましてや――
一般浴場なのだ。不特定多数のお客さんの、遠慮のない好奇の目にさらすことになる。
コンビを組んだ道義上、あるいは一人の男として、パートナーの扱い方について、真摯に心配してしまう。
ドールはテーブルの上に置かれた時間割を見る。
「昼は清掃だから利用不可。夜間は6時から12時まで。よし、大丈夫」
「そうでなくて……」
「行くぞ。まさか建物内で迷うとか言うなよ!」
結局、引きずられるワープなのである――
ええい、意識しすぎ! ぼくらは男で子供だ。問題ないし、どうとでもなれ!
心を決めたワープだった。