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 広い――

 最上階は、まるまるレストランのフロアになっていた。セルヴーズに案内された席は西の端の角のテーブルで、つまりその西側、そして湾側は一面のガラス張り。広々と、街並みと港湾の、美しい景観を楽しめた。

「フン。キミの手柄だ。評価してやろう」

 どこまでも偉そうなヤツだ。ぼくの意向を確かめもせず、すっ――と片手をあげて、「マダム……」と給仕を呼び付ける。

 キザなヤツ。そう心の中で付け加えるワープだった。


 ドールが二人分まとめてオーダーしたのは、和食、海鮮料理だった。“本日のお造り”、そして“ノドグロの焼き物”である。申請のため画像を撮ったあとは、さぁもう、ひたすら食べることに集中した。旨かった。とくにサザエ、ノドグロだ。さすが港町、土地もので、久々に当たりというか、どうにも箸が止まらない。夢中になった。肉がこりこりとして鮮烈。身がふくふくとして甘い。口の中で、舌が味のお風呂にでもつかってるみたいだった。

 向かいには綺麗な子がいて――

 箸を使って魚の口の中を覗き込んで、二人して同時に首をかしげて、息が揃ってめずらしく、二人して笑いあった。

 大人がお酒を飲みたがる気持ちがわかるような、そんな不思議な気分だった。


 微笑みの、多数の給仕係が見守っている。空には星が、一つずつ増えていた――


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