〜体調が悪い時はマジメなインテリ系の彼氏〜
「う〜……ん。」
頭痛い。喉痛い。……完全に風邪ひいた。ううっ、天井がグルグル回ってる。気持ち悪い。
ピピッ
脇に挟んだ体温計が鳴った。
39.6度。私、今日が人生の最終日かもしれない。一人寂しく、誰にも看取られず、逝くのかな。………クスン。
「熱は高いが、診断の結果はただの風邪だ。薬を飲んで安静にしていれば時期に治る。」
私の看病をしてくれる彼氏様は、スーツのジャケットを脱いで、ワイシャツの袖を三つくらい織り上げている。それだけならかっこいいんだけど、何故にピンクの花柄エプロンを着用している?いや、エプロンは私のだけど、何で着てんの?
「薬を飲むには何か食べなければいけない。待っていろ。今栄養のある食べ物の作り方を調べているところだ。」
そこからかよ!!
いや、嬉しいんだけど、作れないならコンビニでゼリーとか口当たりの良いものを買ってきてくれればいいのに。
「栄養の高い食材は、ニンニク、玄米、大豆、にら、えび、鰻…」
「ちょっ!!ちょっと待って!!」
病人に何食べさせるつもりだ!
思わず声を掛けけど、彼氏様は真剣だった。プライドの高い人だから全否定はマズイ。けど、今あがった食材は元気な時に食べたほうが良い。
「えっと、食欲がないから、ゼリーとかプリンとかが良いな。」
食べたいものをさりげなくリクエストしてみた。
「むっ。食欲がない?食欲増進の……」
「お粥!卵粥はどうかな?栄養もあるし喉越しも良いし。食べたいな〜。なんて。」
どうしても(手作りで)栄養のあるものを食べさせようとする彼氏様。私のことを考えてくれているだけに無碍にもできないが、お粥の作り方をネットで調べているところを見ると不安で仕方がない。けど、お粥は比較的失敗度は低い。…水の分量と火加減さえ間違えなければ。
と言うか、うちの炊飯器でもお粥は作れたりする。最近の炊飯器マジ優秀。
「土鍋は何処にある?」
「………」
一人暮らしに土鍋は過ぎた代物です。コミュ症で友達が少ない私が家で鍋パでもすると思ってんですか?喧嘩売ってんですか?風邪引いてなかったらその喧嘩買いますけど?
「土鍋はないです。その代わり炊飯器でもお粥は作れます。」
メモリーに合わせて米と水を入れてスイッチ押すだけで良いですよ。心の中で念じてみる。
「炊飯器の粥は全粥だな。炊き粥には4種類あってだな、全粥、七部粥、五部粥、三部粥と、水分量で変わってくる。三部粥ほどになれば米が1に対して水の量は20とほとんど汁物状態で「ちょっと待って。その説明長い?」…すまない。病人には理屈よりも早く食べさせたほうが良いな。」
うんうん。早く薬飲んで寝たいです。だからすぐそこのコンビニでゼリーを。
「土鍋がないなら仕方がない。すぐに買ってくるから待っていろ。」
「え?…ちょっ!!?」
普通の鍋で作ると言う発想はなかったんかい!っと突っ込みたいが、彼氏様は私のことを考えて最善を尽くしたかったんたよね?そうだよね?考えてたら頭痛が酷くなってきた。
薬はまだお預けっぼいから、少し寝ようと思います。
彼氏様が心配(暴走)するから早く治そう。