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憧憬 ルーフェイア・シリーズ02  作者: こっこ
Chapter:1 街角
4/33

Episode:04

「えっと、十字路は右で、次も右で……二つ目?」

「三つ目」


 ついでに言うとあそこ、「地図を見て」ってのも役に立たない。なんか裏路地やら行き止まりやらで、地図と実際とがどうも合ってなかったりする。


「ごめんなさい、ちょっと何かに書かないと……」

「一緒に行ってやろうか?」


 初対面の相手に差し出がましい気はしたけど、一応訊いてみる。

 そしたら意外にも、この子がぱっと顔を上げた。


「あの、本当にいいんですか?!」

「ああ、かまわねぇよ」

 どうせ時間、余りまくってるし。


「――ありがとうございます」

 しかも、エラく素直にお礼言うし。

 普通これだけカワイイともう少しお高くとまりそうなもんだけど、この子はそういうものの持ち合わせは、なかった。


「いいって。俺もどうせ、時間あるからさ」


 並んで歩き出す。

 それにしても近くで見ると、その美少女ぶりがさらに際立つ。


 陽の光がきらめく、黄金色の髪。

 吸い込まれそうに澄んだ色合いの、碧い瞳。

 顔立ちの方も、これをつかまえて美少女といわないほうがおかしい。

 これに加えてこの濁りのない色だ。


――天は二物を与えず、っつーけどさ。

 あれぜったいウソで、神様とやらはえこひいきしまくりだろう。


 けど俺、そのうちとんでもないことに気づいた。

 ちょっと見じゃ分かんねぇけど、こいつのベルトやブーツ、いろんなモンが仕込んである。しかも全部戦うための道具ときてる。

 身のこなしも、明らかに何かの格闘技を使うヤツの動きだった。見かけで判断して手なんか出した日にゃ、間違いなく返り討ちだろう。


 でもどうみたってこいつ、俺より年下かせいぜい同じくらい――つまり十歳かそれ以下だ。それなのにこんな技術を身に付けているなんざ、マトモな話じゃなかった。


――うちの生徒、じゃねぇよな?


 俺と同じでMeSの生徒っつーのがいちばんありそうだけど、うちの学院にゃこんな子いねぇし。

 だいいちこんだけの美少女が在学してりゃ、絶対噂になってる。


「あの……」

 呼びかけられて、はっと我に返った。

「次はどっちへ行けば……?」

「あ、悪りぃ。ここは右だよ」


 そう言って、先に立って角を曲がる。彼女がすぐ後からついてきた。

 だけど足音がしない。当然気配もない。


――どうなってんだよ?


 すごく気になる。

 けっきょく俺、ためらったけど尋ねてみた。


「おまえさ……どっかMeSの生徒?」







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