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憧憬 ルーフェイア・シリーズ02  作者: こっこ
Chapter:4 再会
31/33

Episode:31

「いろいろやったけど、普通のところじゃダメだった。

 いつもあなたは、あたしたちの想像を超えてて……」

 良く似た碧い瞳が、こいつを見返した。


「けど彼の言うとおり、ああいうとこならあなたでも大丈夫だと思う」

「でも……」

 まだ困惑するこいつに、両親がうなずいた。

「お前がそうしたいなら、行くといい」

 親父さんが答える。


「MeSったらやっぱりシエラかしら? あそこの学院長は誰だったかしらね」

 おふくろさん、すげー強引。もうカンペキに行かせる気でいる。

 正直こゆタイプの親から、どうやってこゆ大人しい娘が生まれたんだか、かなり謎だ。


「シエラ学院ならついでに上級傭兵になっとけば、箔もつくから一石二鳥だし。

 そういえばアヴァンシティにもあったわよね」

 って、俺が言ってるのってそこじゃなくて……。

 まぁ部外者にしてみりゃいくつかある学院のどれも、一緒なんだろうけど。


「えーと、アヴァン分校じゃ上級傭兵、なれないですよ?」

「あら、そうなの?」

 説明書があるわけじゃないから、一から説明する。


「あれ、本校の生徒だけなんですよ。

 だから分校にいてなりたいヤツは、わざわざ本校に転校するんです」

「同じ学院なのに、複雑なのねぇ」

「俺に言われても」

 なんでそうなってるかなんざ、知りゃしねぇし。


「で、あなたはどこの生徒なの?」

 今度はいきなり話が飛んできた。

「あれ、言ってませんでしたっけ?」

「聞いてないわよ」


 あっさり切り返される。

 けど良く考えてみりゃ、そのとおりだ。このペースに巻き込まれて忘れてたけど、この人と会ったの、ほんのちょい前だし。


「一応、本校ですけど」

「あら、そうなの? じゃぁそこでいいわね」

――いいのか?

 なんかこの人、あんまりにもテキトーっつーか……。


「そこで、って、あそこ親いると、なかなか入れないですよ?」

「あらま、じゃぁ学院長にでも掛け合わなきゃだわね。あそこは学院長誰かしらねぇ」

「オーバル学院長ですけど?」

「あら、やぁね。オーバルって言ったら彼かしら? 最近音沙汰ないと思ったら、そんなところでそんなことやってたなんて、まったくあたしに黙ってそんなことして。

 でも彼なら話が早いわね。すぐ連絡入れなきゃ」


 会ったわけでもねーのに、うちの学院長を知り合いの誰かだって決め付けてるし。

 てかとっとと話、進めちゃってるし。

 ルーフェイアのヤツも話に置いてかれて、さすがに抗議する。

「母さん、そんな勝手に――!」


 けど、おふくろさんのほうが二枚くらい上手だ。

「あらあなた、行きたくないの?」

「それは……」

「じゃぁ決まりね」

 マジ、乱暴な人だし。


「でも、でも……」

「なーに躊躇ってんのよ。行きたかったんでしょ?」

 頭ごしごし撫でられて、やっとこいつがうなずいた。

 それから、訊ねる。


「……父さんと母さんは、それでいいの……?」



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