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憧憬 ルーフェイア・シリーズ02  作者: こっこ
Chapter:4 再会
30/33

Episode:30

「まったくもう、いきなりケンカなんて始めて。何考えてるんだか」

「あー、すいません、つい」

「ごめんなさい、ごめんなさい……」


 一転して平謝りしだすの、こいつの習性か?


「ごめんなさい、すぐ、行くから……」

 それをおふくろさんが、止めた。

「ルーフェイア、やっぱりあなた、学校行きたいのね?」

 まっすぐ見つめられて、ルーフェイアのやつがうつむく。


「どうなの?」

「ごめんなさい! ほんとに行こうなんて、思ってない……」


 必死の表情。

――なんでだ?

 けど理由はこのときは、分かんなかった。


「どうして言わなかったの?」

「だって、だってあたし、この家に……」

 俺に分からねぇ話を、母娘が始める。

「たしかにそうね。でもだからって、行ったらいけないなんてこと、ないのよ?」


 瞬間、こいつの表情が変わった。


「なんで……?」

 何かに裏切られた。そんな顔。

「どうして今ごろ、そんなことっ……!」

 いつもとは違う涙が、こいつの瞳からこぼれる。


「みんな、だってみんな、あたしは戦うためにいるって!

 だから、だからあたし――!」

 親二人――特におふくろさん――の表情が、曇った。


「どうして、どうして……」

 よっぽどのことなんだろう、抗議しつづけるこいつを、おふくろさんが抱きとめる。

 何も言わないのに、見てるこっちのほうが辛かった。

 こいつの親は最初っから、知ってたんだろう。ただなんか、理由があって……。


「あのよ――さっきも言ったけどさ、学院、来るか?」

 なんでそう言ったかは、自分でも分からない。

 けどそれが、いちばんいいような気がした。


「お前、俺と同い年だろ。なのにダチもいないなんての、やっぱどうかしてるし。

 あとなんかお前メチャクチャ強えぇけど、そーゆーのあそこは平気だしさ」

 話聞いて、おふくろさんが顔を上げる。


「あなたの学校? でも普通のとこじゃ……」

「俺んとこ、MeSなんで」

 おふくろさんが、はっとした表情になる。


「その手があったわね……あぁもう、あたしとしたことが、そんなことにさえ気づかないなんて」

 なんかやたら傲慢な言い方だけど、この人の場合それが当然に思えるからすごい。


「それならやれるかもしれないわね。普通の学校じゃないぶん、かえって楽かもしれないし」

「……そうだろうな」

 初めて親父さんも、口を開いた。

「それに前線は、子供が居る場所じゃない」

「父さんまで、そんなこと言うの――?!」

 弾かれたみてぇに、ルーフェイアが振り向く。


「そんなの、そんなのひどい……」

 泣きじゃくるこいつの細い身体を、おふくろさんがまた強く抱いた。

「ごめんね。本当は分かってたのよ。

――でも、出来なかった。それにMeSなんて思いつかなかった」

 驚いた表情でルーフェイアのヤツがおふくろさんを見る。

「母さん……?」

 辛いすれ違い。

 ただ間違いないのは、どちらも相手のことを思ってたってことだ。



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