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憧憬 ルーフェイア・シリーズ02  作者: こっこ
Chapter:4 再会
28/33

Episode:28

「すごい。料理……できるんだ」

「その辺のモン、並べただけだぞ?」

 いったいこいつ、どーゆー食生活してんだか。


 なにせテーブルの上に並んでるのなんざ、残ってた野菜のサラダとスープ、あとはトーストと目玉焼きとベーコンとミルクだけだ。

 ちなみに叔父さんたちは、夕べ駆り出されたっきりでまだ戻ってない。


「その辺、座れよ」

「うん」

 思ってたよりかは元気になってるこいつが、椅子にかけた。

「こんなちゃんとしたご飯……久しぶり」

「お前マジでメチャクチャな生活、してねぇか?」


 これが「ちゃんと」ってんじゃ、あとは推して知るべしってやつだろう。

 まぁ戦争してちゃ、しょうがねぇんだろうけど……。

 半分呆れながら、ともかく俺も座る。


「味付け、わかんねぇからほとんどしてねぇんだよ。そこの塩でもなんでも取って、自分で足してくれよな」

「うん、わかった」

 ルーフェイアが食べ始める。


――やっぱ可愛いよな、こいつ。


 金の髪で海色の瞳した、とびっきりの美少女だ。だからメシ食ってても、アンティーク人形が動き出したみてぇな雰囲気になる。

 なのにめっぽう強くて、けど繊細ですぐ泣いちまって、でも平気で炎の中へ飛び込んじまったり……。


「えっと……なに?」

「へ? あ」

 メシ食うの忘れて見てた。


「あたし……なにか、しちゃった……?」

「してねぇしてねぇ。

 それよりよ、その、えーと――あ、そうそう、おふくろさんから連絡、来てたぜ?」

 慌てて話題を変える。


「なんか、けっこーこの近くにいるらしいこと、書いてあった」

「ほんとに?」

「ああ」

 ざっとしか見ちゃいねぇけど、書いてあったことをこいつに言ってやる。


「じゃぁ、父さんも母さんも……無事だったんだ」

「よかったな」

 ただでさえ兄貴が死んじまったってのに、そのうえ「両親も」なんてことにならなくて、なによりってやつだ。


「居場所書いて返信しといたから、そのうちここ、来るんじゃねぇか?」

「母さんの性格じゃ、今日中に……来るかも」

 言い方からするとこいつの親、そうとうの行動派らしい。


「まぁいいや。ともかくメシ、食っちまえよ」

「うん」

 今度は俺も食べ始める。

 俺の通ってる学院の話だのなんだのしながらメシ食って――最後に違う話になった。


「お前さ、これからどうすんだ?」

 なんでンなこと訊いたかは、分からない。

 ルーフェイアのほうも、なんてことなしに答えた。


「しばらくは、休めると……思う」

「しばらくって、そのあとはどうすんだよ?」


 俺の質問に、ルーフェイアのやつが視線を落とす。

 海色の瞳から、涙がひとすじこぼれた。


「――やめちまえよ」

 俺が言うと、涙がさらにこぼれる。


「ヤなんだろ? だったら、やめちまえって」

 けど答えの代わりに、ルーフェイアが首を振った。


「なんでだよ?」

「だって……」

 あとは言葉にならない。ただ泣くだけだ。



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