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憧憬 ルーフェイア・シリーズ02  作者: こっこ
Chapter:4 再会
27/33

Episode:27

「ウソついてどうすんだよ。てか、先に行ってこいって」

「あ、うん」


 こいつを風呂場へ押し込んで、その間に急いでメシの最後の仕上げにかかる。

 俺が言ったせいもあるんだろうけど、ルーフェイアのヤツはけっこう長湯だった。

 もっともシャワーなんてしばらくぶりだろうから、気が済むまで浴びたい気持ちは分かる。おかげでこっちも、慌ててやらずにすんでいい感じだ。


 と、盛大な音が風呂場の方から響いた。

 焦って脱衣所へ飛び込む。貧血でも起こしてひっくり返ってたらヤバい。


「おい、だいじょぶか!」

「だ、だいじょぶ……」

 幸い、こいつは何でもなかったらしい。脱衣カゴがひっくり返って、服が散らばってるだけだ。


「ちょっと……滑っちゃって」

「まだ調子悪いんじゃね?」

 なんせ夕べの今朝だ。いくら寝たからって、まるっきり元通りになるわけもねぇし。

「そう、なのかな……いやぁっ!」

「へ?」

 タオルが飛んできた。


「やだっ、見ないでっ!」

「――あぁ」

 やっと言ってる意味を理解する。

――けどなぁ。

 もうバスタオル羽織ってっから、裸ってワケじゃない。しかもついでに、そのバスタオルの下が……。


「ネミ並みの幼児体型見せられてもなぁ、別にどうってことね……」

「――!」

 間髪入れずにカゴがダブルで飛んできて、どっちも俺の頭に豪快に命中した。思いっきり怒らせたらしい。

「ンな怒らな――ちょ、待てっ!」

 続けて来た蹴りをどうにかかわす。


「つかお前、タオル一枚で蹴りかますなって!」

 丸見えだっての。

「え? あっ、やぁぁぁぁっ!」

 だから自分でやっといて、悲鳴あげんなよ……。


「えーとその、ともかく服、着ろよな? 俺、外にいっから」

「うん……」

 しゃがみこんだこいつが、半ベソでうなずく。強烈な蹴りとかシャレにならねぇけど、こーゆーとこはなんか可愛い。

 外でしばらく待ってから、俺は声をかけた。


「もう平気か?」

「――うん」

 答えを待ってから開ける。さすがにおんなじこと繰り返してヒドい目に遭うのは、願い下げだった。


「さっきのすげぇ音で、お前が倒れたと思ったんだよ」

「……ごめん」

 着替えてる間に、こいつの頭も冷えたっぽい。

「ホントになんでもねぇんだな? どっかぶつけてねーだろな? 気持ち悪いとかねぇよな?」

 ぱっと見問題なさげだけど、念のために訊く。


「それは、だいじょうぶ……ごめん」

「ならいいや、メシ食おうぜ。腹減ったし」

「ご飯って……ホントに?」

 また言われるし。


「ウソ言ってどーすんだって、さっきも言ったろ?」

「でも……」

 まだ半信半疑のこいつを、食堂へ連れてく。



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