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憧憬 ルーフェイア・シリーズ02  作者: こっこ
Chapter:4 再会
26/33

Episode:26

「えっと、おい、だいじょぶか?」

 けど答えはなくて、もうひとつぶ涙が落ちた。

 それからやっと、こいつが口を開く。


「ルーフェイア=グレイスは無事、同行した兄さん……じゃない、ラヴェルは死亡。

――そう、おねがい」

 それだけ言って、ルーフェイアのやつが膝に顔をうずめる。


 気持ちは、想像ついた。

 俺も親父が死んだって聞かされた時は――目の前で見たわけじゃねぇのに――こたえたなんてもんじゃ、なかった。

 ましてやこいつは兄貴を、たぶん目の前で亡くしてる。


「ルーフェイア、一人のほうが……いいか?」

 親兄弟の間にゃ、他人は立ち入れない。学院でも独りにしといてくれってヤツは、けっこういる。

 けどこいつは、違うらしかった。

「ううん、ここにいて……」

 辛すぎて、独りじゃダメなんだろう。


 その辺の椅子を引っ張ってきて、かける。

 でも俺は、何も言わなかった。こんなときにヘタになんか言っても、傷つけちまうだけだ。

 死んじまったやつは、戻らねぇから……。

 それからどんくらい経ったのか、やっとルーフェイアのやつが顔を上げた。


「なんか……ごめんね」

「気にすんなって。俺もさ、親父死んだときはそうだったし。

 軍人だから覚悟してたはずだってのに、いざそうなるとすげーキツいんだよな」

 答えながら立ち上がって、冷蔵庫を開ける。中には思ったとおり、薬と並んで幾つか缶ジュースが放り込まれてた。


「飲めよ」

 放り投げる。

 きれいな放物線を描いて缶が飛んで、上手いことルーフェイアの手の中に収まった。


「ありがと……」

 夜の診療室に、缶をあける音が響く。

 俺も自分のぶんを出して、今度はベッドの脇に腰掛けた。


「これ飲んだら、寝ろよ?」

「……うん」

 そのあとはどっちも何にも言わなくて、ただ夜だけが過ぎてった。



 翌朝。

「おーい、起きられっか?」

 俺は時間を見計らって、診療室に声かけてみた。


「ん……?

 あ、うん、大丈夫」

 驚いたことに、ルーフェイアのやつが即座に目を覚ます。戦場で育っただってだけあって、抜群に寝起きがいいらしい。


「シャワーでも浴びてこいよ。着替え、叔母さんが夕べ出してってたし」

 実は朝浴びに行って、始めて気が付いただけだったりするけど。

 てか、そこまで用意しといて言い忘れる辺りが、さすがあの叔母さんらしい。


「いいの?」

「いいって」

 別に、俺が水道代払うわけでもねーし。

「えっと……どこ?」

「こっちな」

 二階へこいつを連れてく。なんせここんち一階は診療室だから、生活スペースは全部二階と三階だ。

 幸いルーフェイアのヤツは一晩寝たせいか、動けるようになってた。


「そこの廊下の奥な。終わったら、メシあるぜ」

「ほんとに?」

 信じてねぇし。



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