Episode:24
町ん中は、通りも含めてほとんど人影はなかった。外出禁止令なんかは出てねぇけど、やっぱ状況が状況だから、みんな家にこもってる。
けどこれも、明日辺りには解消だろう。
一階が診療所を兼ねてる家まで戻って、俺は呼び鈴を押した。
「はいはい、今開け――あらら」
叔母さんがドアを開けかけて、あんまり驚いてなさそうな顔でびっくりする。このへん、いちばん上の姉貴とそっくりだ。
「可愛いわねぇ。
どこで拾ったの? あたしこんな子、欲しかったのよねぇ」
「叔母さん……」
「あら、違った?」
どっと疲れる。
――ってか看護士なんだから、見りゃ状況分かるだろに。
ただこの人の場合、ほとんどが本気だからかなり怖かったりする。
叔父さんの方は慣れっこだから、まるっきり気にもしねぇで、奥の診療室へルーフェイアのやつを寝かせた。
「ふむ。やっぱり眠ってるだけみたいだな。
――ところでイマド、この子があの、ルーフェイアって娘なのか?」
「そだよ」
ずいぶん迷いはしたけど、結局俺はあの日火事場であったことを、叔父さんたちにはぜんぶ話した。だからネミを助けたのがこいつだってのは、知ってる。
ただ直接見たわけじゃねぇから、叔父さんはイマイチ信じられないみたいだった。
「そうか、こんな子がなぁ……」
「すっげぇ強かったけどな」
あいつにして見りゃ炎の中も、そのヘンの通りと大差ない気がするし。
「まぁいい、ともかく今は診るのが先だな。お礼ならあとから、ゆっくりできるだろう」
叔父さんがその辺から、いろいろ要りそうなモンを出す。
「ほらほら、あなたいつまで居るの?」
「え?」
ぼーっと眺めてっと、叔母さんが妙なことを言い出した。
「だってこいつ、ホントに……」
当人がケガないって言ってたから、たぶん平気だろうけど、やっぱ心配だ。
でも叔母さん、ぜんぜん違う理由だった。
「女の子に興味があるのは分かるけど、やっぱりだめよ?」
「ちっ、ちがっ――!」
「はいはい大丈夫、分かってるわよ」
結局誤解されまくったまま、俺の部屋じゃなくて待合室(なんでだ?)へ追い出される。
「ちょっと待っててね、すぐ終わるから」
「………」
なんか言う気力も失せて、俺はその辺のソファに座り込んだ。
備え付けの通話石が着信の合図を出したけど、無視する。だいいち遊びに来てるだけの俺が出たって、話がこんがらかるだけだ。
――あいつ、何してたんだろな。
戦ってたってのは、だいたい分かる。けどその中で、あいつは何を見てきたのか。
あの時、泣き出しちまったルーフェイア。
ガッコで何するのかも、友達がどんなものかも知らずに、ただ戦う毎日。
けどそれが、あいつにとっての日常で……。
ンなことをぼんやりいろいろ考えてたら、奥から叔父さんが顔を出した。後ろになんか叔母さんも一緒で、診療材料一式抱えてる。
「イマド、すまん、留守番しててくれるか?」
「いいけど叔父さん、こんな時間にどこ行くんだよ?」