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憧憬 ルーフェイア・シリーズ02  作者: こっこ
Chapter:3 約束
19/33

Episode:19

「どうにか、なんねぇのかよ?」

 俺の問いに、こいつは静かに首を振る。

 そして微笑んだ。


「大丈夫、あたし慣れてるし……勉強もちゃんと、してるし……」

「ま、マジメ、なんだな」


 俺なんざ勉強は、逃げられるだけ逃げてるってぇのに。

 ルーフェイアのほうは俺の答えに不思議そうな顔になって、「勉強がいちばん楽しい」っつー、とんでもないこと言ってる。


「お前さ、少しダチと遊ぶとかなんとか、したほうがいいぞ?」

「ダチ……?」

 なんか言葉、通じてねぇし。


「んと、友達。いるだろ?」

「ううん……。

 あ、でも、兄さんとか隊員の人とか……ヒマなら相手、してくれるの」

「なんだよそれ――」


 もう、ガッコどこの話じゃない。

 要するにこいつはどっかの軍の中みてぇなとこで、ダチもなしにただ戦って……。

 なんか腹が立った。

 こいつから伝わってくるのは、悲しさばっかだ。なのに口と表情じゃ、平気な顔してる。

 だからよけい、腹が立った。


「やめろよ」

「え?」

「そんな生活、やめちまえよ!」


 自分でも、何で腹が立つかはわからない。けどどうにも許せなかった。

 そんな俺を呆然と見るルーフェイアの瞳に、急に涙があふれる。


「ごめん……」

「え? あ、いや、泣くなよ。そのさ、お前に怒ったわけじゃ、ねぇから」

 女子に泣かれたことなんかねぇから、めちゃくちゃ対処に困る。

 けどよっぽどこたえちまったのか、どんだけ慰めてもこいつは泣きやまなかった。


「な、頼む、もう泣くなって」

「ごめんなさい!」

 ずーっとこれの繰り返しだ。

 結局俺は、泣きやむのを待つしかなかった。


 ルーフェイアのやつを見ながら思う。

 たぶんこいつは……今の生活が、気にいってるわけじゃないんだろう。でもなんでだか、それをやめようとは思ってない。

 不思議だった。

 それとも、なんか弱みみてぇなのがあって、どうにもならないのか。


「……だいじょぶか?」

 少し収まってきたのを見て、訊いてみた。

 さっきとちょこっとだけ、違う答えが返ってくる。

「ご、ごめんなさい……うん、だいじょうぶ……」


 言いながらルーフェイアのやつが、涙をぬぐいながら顔を上げた。

 あんだけ泣いてさすがにばつが悪りぃのか、俺のほうは見ないで時計に目をやる。

「あ、いけない……」

 もっかい涙をぬぐって、こいつが立ち上がった。


「どした?」

「時間が……」

「へ?」


 間抜けすぎる返事をしちまってから、思い出す。


「そいや、列車がどうとか言ってたっけな」

「うん」

 ルーフェイアのやつがうなずいた。


「急がないと。

 えっと、駅、どっち……?」

 俺が街中引きずり回しちまったから、現在位置がわかんなくなったらしい。

「こっちだ」


 この町だったら俺のほうが断然土地カンがあるから、言葉と一緒に走り出した。

 ルーフェイアも走り出す。



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