Episode:16 約束
◇Rufeir
炎の中からどうにか女の子を助け出した後、あたしは教えてもらった公園へ向かった。
――確か、左へ曲がって真っ直ぐって。
思い出しながら、道路を歩いていく。
遠い空。
優しい風。
強い日差しも夏を思わせて、すてきだ。
道を行き交う人たちもなんだか、みんな楽しそうだった。
いいな、こういうの……。
公園までは、意外なくらいすぐだった。改造屋さんを探してあれだけ迷ったことを思うと、なんだか信じられない。
中へ入ってみると、まぶしいくらいの緑が生い茂っていた。それにとっても静かで、大通りの賑やかさが嘘みたいだ。
木々の間からの木漏れ日。
さらさらと流れぬける風。
石を並べて作られた、小さな水路のせせらぎ……。
覗きこんでみると、ちゃんとお魚まで泳いでいた。
誘われるようにしてブーツを脱いで、足を入れてみる。
――気持ちいいな。
熱くなっていた足が、冷やされていった。
まだちょっと暑いせいか、公園内はそれほど人はいない。きっともう少し遅くなってから、みんな夕涼みにでも来るんだろう。
隣には聞いた通り、学校があった。石造りの立派な建物で、威風堂々、という感じだ。
けど、人の気配はなかった。校庭も校舎も静まり返ってる。
ちょっと寂しかった。
学校がどんなとこなのか、あたしは知らない。もちろん何度か目にしたことはあるけど、入ったことは一度もなかった。
当然だけど、中で何をするのかはもっと分からない。
――勉強だって、いうけど。
ただそれを、たくさんの人と一緒にやるんだって言う。
うまく想像できないけど、楽しそうだと思った。
きっと、分からなかったりしたら、みんなに訊いて……。
つい泣いてしまいそうになって、あたしは慌てて唇を噛んだ。こんなところで泣いていたら、周りの人だって呆れるだろう。
なによりあたしには……関係ない話だ。
考えを無理矢理、明日からのことにもっていく。地形、スケジュール、必要な装備、それから連絡手段。
かなうわけのない夢よりずっと、そのほうが大事だから……。
◇Imad
叔父さんと姉貴のダンナを振り切って、俺はどうにか約束の公園まで来た。
――まさか、着いてるよな?
まぁあいつ方向音痴じゃなさそうだし、さっきの場所とちがって今度は簡単だから、ちゃんと行き着いてるだろう。
――って、あれ?
広い公園の中をざっと見回しても、ベンチにあいつの姿はなかった。
「自分で返せって言ったくせに、どこ行きやがったんだか」
独り言いいながら、その辺をふらふら探す。
もっともどっかの自然公園ってワケじゃねぇから、あいつの姿は割とすぐ見つかった。人工のせせらぎの、水源?に近い奥のほうだ。
暑かったのか、ブーツ脱いで水に足突っ込んでる。
「悪りぃ、ちょい時間食っちまってさ」
「あ、イマド……?」
金髪が振り向く。
なんか、ひどく寂しげな表情だった。
◇ ◇ ◇
Rufeirの部分が短すぎるので、ちょっと足してみました