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憧憬 ルーフェイア・シリーズ02  作者: こっこ
Chapter:3 約束
16/33

Episode:16 約束

◇Rufeir

 炎の中からどうにか女の子を助け出した後、あたしは教えてもらった公園へ向かった。

――確か、左へ曲がって真っ直ぐって。

 思い出しながら、道路を歩いていく。


 遠い空。

 優しい風。

 強い日差しも夏を思わせて、すてきだ。

 道を行き交う人たちもなんだか、みんな楽しそうだった。


 いいな、こういうの……。


 公園までは、意外なくらいすぐだった。改造屋さんを探してあれだけ迷ったことを思うと、なんだか信じられない。

 中へ入ってみると、まぶしいくらいの緑が生い茂っていた。それにとっても静かで、大通りの賑やかさが嘘みたいだ。


 木々の間からの木漏れ日。

 さらさらと流れぬける風。

 石を並べて作られた、小さな水路のせせらぎ……。

 覗きこんでみると、ちゃんとお魚まで泳いでいた。


 誘われるようにしてブーツを脱いで、足を入れてみる。

――気持ちいいな。

 熱くなっていた足が、冷やされていった。


 まだちょっと暑いせいか、公園内はそれほど人はいない。きっともう少し遅くなってから、みんな夕涼みにでも来るんだろう。

 隣には聞いた通り、学校があった。石造りの立派な建物で、威風堂々、という感じだ。


 けど、人の気配はなかった。校庭も校舎も静まり返ってる。

 ちょっと寂しかった。

 学校がどんなとこなのか、あたしは知らない。もちろん何度か目にしたことはあるけど、入ったことは一度もなかった。

 当然だけど、中で何をするのかはもっと分からない。


――勉強だって、いうけど。


 ただそれを、たくさんの人と一緒にやるんだって言う。

 うまく想像できないけど、楽しそうだと思った。

 きっと、分からなかったりしたら、みんなに訊いて……。


 つい泣いてしまいそうになって、あたしは慌てて唇を噛んだ。こんなところで泣いていたら、周りの人だって呆れるだろう。

 なによりあたしには……関係ない話だ。

 考えを無理矢理、明日からのことにもっていく。地形、スケジュール、必要な装備、それから連絡手段。

 かなうわけのない夢よりずっと、そのほうが大事だから……。



◇Imad

 叔父さんと姉貴のダンナを振り切って、俺はどうにか約束の公園まで来た。

――まさか、着いてるよな?

 まぁあいつ方向音痴じゃなさそうだし、さっきの場所とちがって今度は簡単だから、ちゃんと行き着いてるだろう。


――って、あれ?


 広い公園の中をざっと見回しても、ベンチにあいつの姿はなかった。

「自分で返せって言ったくせに、どこ行きやがったんだか」

 独り言いいながら、その辺をふらふら探す。


 もっともどっかの自然公園ってワケじゃねぇから、あいつの姿は割とすぐ見つかった。人工のせせらぎの、水源?に近い奥のほうだ。

 暑かったのか、ブーツ脱いで水に足突っ込んでる。


「悪りぃ、ちょい時間食っちまってさ」

「あ、イマド……?」

 金髪が振り向く。

 なんか、ひどく寂しげな表情だった。



◇ ◇ ◇

Rufeirの部分が短すぎるので、ちょっと足してみました

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