Episode:15
「姉貴!」
「イマド、あなた無事で――ネミっ!!」
後はもう、言うことナシのご対面だ。
「ネミ、良かった……。イマド、ほんとにありがとう」
「いいけどさ、姉貴、今度っからネミひとりで置いてくなよ?」
「ええ、もう、絶対」
まぁ、怖くて二度と出来ねぇだろうけど。
それから姉貴が、思い出した顔になる。
「イマド、あの子は? 無事なの?」
「あの子?
――あ、あいつか」
きっちりルーフェイアのこと、覚えてたらしい。
かといって、細かいこと訊かれちゃ困るし……。
「無事だけど、なんか目立ちたくないって言ってさ。
だから、こっそり逃げて隠れてる」
「あらまぁ。困ったわ……」
お礼するつもりだったんだろう、姉貴が考え込んだ。
「どこへ行ったか、分かるの?」
「分かるけど、来ないと思うぜ。そゆの、キライらしいし」
「あら……」
どうにか落ち着いてきたみたいで、姉貴お得意の妙なのんびりペースが復活のきざしだ。
――これ、苦手なんだよな。
この姉貴のスローペースに巻き込まれると、なんか抜けらんなくなる。ついでに言うと叔父さんちの姉貴三人は妙に個性的で、いつも振り回されるのがオチだった。
つか姉貴、マイペースはいいけど、家が焼けてるの忘れてねぇか……?
「――そ、それより姉貴、ネミ病院連れてけよ。見た目だいじょぶそうだけど、ほら、一応さ。
それに出てくっとき、こいつ濡らした毛布で包んじまったから、このままだと風邪ひくかもしんねぇだろ?」
なんとか別の方向へ話題を持ってく。
状況が状況だから、姉貴もすぐ乗った。
「そうね、そうよね、そうするわ」
「それがいいって。
ほら、ちょうど救急車来てるし」
姉貴とネミをそっちへ押しやって、救急隊にワケを話す。もちろん即刻乗せてくれて、まっすぐ病院行きだ。
「イマド、あの子によろしくね?」
「はいはい」
ネミが元気だから、姉貴も救急隊もなんかのんびりだ。
「きゅうきゅうしゃー」
当人、すげーはしゃいでるし。
消防も到着して、その辺りが池になりそうな勢いで放水してるから、もうだいじょぶだろう。
ともかく二人を見送って、やっと俺の身体が空いた。
――早くしねぇと。
途中で迷子ってこたねぇだろうけど、ルーフェイアのやつをひとりで待たせとくのは、なんか怖い気がする。
で、そっちへ駆け出そうとしたとき。
「イマド!」
呼ばれて振り向くと、今度は叔父さんと姉貴のダンナだった。
「アーネストとネミはどうしたっ?!」
仮住まいとはいえ家焼けてるうえに、姉貴とチビの姿が見えないもんだから、半分パニクってる。
「無事だよ」
「どこにいるっ!」
「どっかの病院」
「どっかって、どこだっ!!」
「いや、俺もそれは……」
ンなの、救急隊しか知らねぇだろうし。
「すぐ探しに行くぞ! ほら、来い!」
「ちょ、ちょいタンマタンマ」
強引に腕掴まれかけて、慌てて逃げる。
「こらっ、どこへ行く!」
「用事あるんだって! あぁもう、細かいことは姉貴に訊いてくれよな!」
これ以上とっ捕まらないうちにと、俺は慌てて駆け出した。
お姉さん、マイペースすぎ。