謁見
エレンが兵隊に囲まれている、それも三十人くらいに!
「大変だよ、トント!エレンを助けなきゃ!」
「うかつに兵隊に手を出すと逮捕されるので、様子をみてみましょう。」とトントは冷静に答えた。
「あなたに登城の命が出ています、エレン元将軍。」と兵隊の一人が言った。
「えっー、エレンはガルドスの元将軍だったの?」
「あのエレンだったのですか、アルダにも彼の功績はとどろいていましたよ。通りで、剣の腕が一流なんですね。」
「どうなっちゃうんだろう、まず、エレンに話を聞いてみよう!」僕とトントはエレンのもとに駆け寄った。
「エレン、どうしたの?」
「国王がなにやら話があるらしい、お前らも一緒に行くぞ。」と彼はいつもよりは落ち着いた声で言った。
城は遠くから見るよりも迫力があった。多分、建てるのに何年もかかったんだろうなと思ってる内に国王の部屋の前まで来ていた。
「お前ら、ちゃんと礼儀正しくしろよ。国王は無礼なやつがきらいなんだ。」と言ったけれども、なんかエレンが将軍をやめた理由もうっすらわかるような…。
エレンは国王の間の扉を開け、国王の前で礼をして
「国王様、お久しぶりでございます。今日はどうなされたのですか?」といつもとは全く異なる言葉づかいであいさつをした。
「エレン、よく来てくれた。その二人は旅の仲間か?まだ、若いじゃないか。お前は昔から世話を焼くのが好きだからな。」
「それで、要件はなんでしょうか?」
「すまん、話がずれてしまったな、実はアルダが内乱で倒れたのは知っておろう。」
「はい」
「その内乱を起こしたやつらがこのガルドスを侵略しようとしておる、そこでお前が戻ってきてくれれば心強いんじゃが…」
「すみません、以前申し上げた通り、私は違う方法でガルドスを守っていきたいんです。」
「それなら仕方ないな、昔は色々迷惑をかけたしな………では、他をあたるとしよう。じゃが、少し協力してくれないか?」
「わかりました。では、何をすればよろしいでしょうか?」
「他の国に出向いて、救援を要請してほしいのじゃ。」
「仰せの通りに…。では、我らはこれで。」とエレンは言って、僕らは城をあとにした。




