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界渡りの真実 1
何もない筈の空間の一ヶ所に光が集まる。
「えっ?」
誰もが呆気にとられて見つめている中で、その光は巨大な一枚の鏡となった。
鏡は一面青い景色を映す。
空の青の中に、鏡の中の青い景色が広がった。
どこまでも果て無い、空の青よりもキラキラと光り動く鏡の青。
翠子には、何故かそれが海だとわかった。
「なんで海?」
しかも、多分それは――――
映像の海の中で、2頭の大きな海洋生物が雄大に跳ねる。
クジラのようにもシャチのようにも見えるその体。
流線形の優美な体が海へと消えて――――その海の中から、2人の男女が現れた。
《翠子!》
2人が翠子の名を呼ぶ。
「パパ、ママ!」
それは翠子の両親だった。
 




